第87話

今ここにいる矢島君だって、掃除するための当番があるって知らなかったでしょうと。



「他どこ掃除すんの?」


「今日はもうしないけど、たまに窓拭いたりとか。ほとんどは床の掃除」



集めたゴミをゴミ箱に捨て、私はパンパンにっ

ているゴミ袋を、ゴミ箱から取り出した。


これも捨てにいかないと。




「ソレ、どっか捨てに行くのか?」


「そう」




ゴミ袋を閉め、持ち上げようとした時、私の手に、綺麗な指先がふれる。



「捨ててくる」



そう言った矢島君に驚く。

捨ててくるって言った?

矢島君が?


ほんとに?



「え⋯、場所分かるの?」


「⋯⋯」



黙ってるってことは、知らないのでは?

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