7月

第86話

明日から期末テストが始まる今日の放課後。

誰も掃除をしない教室内を少し箒ではいていたら、「何してんの」と、声をかけられた。



もうみんな帰っていると思っていた私は、少しびっくりした。



そこにいたのは、完璧とは言えない制服を着ている矢島君がいた。ほんとに人間離れしている彼は、ニキビひとつない綺麗な顔をして。



「掃除」


「掃除って⋯、何であんたがやってんの?」



何でって⋯。



「一応、掃除の当番は決められてるのよ」


「当番?」


「みんなしないからね。当番がある事さえ知らないのかも」


「⋯⋯」


「だから私がしてるの」



私はそう言って、集めたゴミを回収していく。


私もここへ来た当初は、みんな掃除しないで帰るの!?って思ったけど、慣れてしまえばなんとも思わなくて。

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