第84話

「逆を言えば、学校に来ると私に会えるよ?」


「女と遊んでたら?」


「その時はストーカーして、また説教してあげる」


「⋯」


「夢を叶えるためには、相手がいるのはもちろんだけど。その相手を幸せにするためにはどうすればいいか考えなくちゃ」


「⋯」


「働かないと、養えない」


「⋯」


「家を借りたり、買うにはどういう手続きをすればいいか。頭に入れなくちゃいけない」


「⋯」


「みんなが笑っている家族を作る。夢に向かって、一緒に頑張ろう。私もサポートするから⋯」


「⋯うん⋯」


「だから、学校に来なさい。ね?」


「⋯⋯」




矢島君はなんの反応も示さなかった。


けど、必ず来てくれるって思った。



矢島君はきっともう、私から逃げないと思ったから。

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