第82話

「⋯教えてくれよ⋯」


「やじまく⋯」


「どうすれば、夢は叶うんだ?」




―――ダメ⋯



そう思った時には、矢島君の唇と、私の唇は重なっていた。


一瞬で離れたそのキスは、瞬きができないほどの驚きと戸惑いが、心の中で交差し。





「な、何してるの⋯」



生徒にキスをされたという事実が⋯。




「⋯俺と付き合ってよ」


「何言って⋯」


「あんたは他の女と違う⋯」


「矢島君⋯」


「しなくていい⋯、抱かねぇから⋯、そばにいてくれよ⋯」


「無理よ⋯」


「⋯なんで?」


「何でって、矢島君は私の⋯」



生徒だから。



「じゃあ、卒業したらいいのか?」



私の意図を読み取ったのか、そんな事を言ってくる。突然キスされ、付き合ってと言われ、戸惑うことしか出来ない私は、「⋯無理よ⋯」と言うことしか出来ず。

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