第81話
「1人になれば、どうしても小さい頃の自分を思い出す⋯。そしたら女を適当に見つけてる⋯」
「⋯矢島君」
矢島君が、ゆっくり顔を上へと上げてきて。
男にしてはまつ毛が長く、綺麗な二重の瞳が、私を見つめてくる。
「この前、夢があるかって聞いたろ」
「⋯⋯うん⋯」
「あるよ、無いわけじゃない⋯」
「うん」
「好きな奴と結婚して、子供が出来て。公園行って遊んで、嫁が作ってくれたお弁当みんなで食べて「美味しいな」って言うこと」
矢島君の夢。
私が何度も小さい頃、した事があることで。
ありきたりな出来事が、矢島君にとっての夢。
小さい頃、ずっと1人だった矢島君には、できなかったこと⋯。
泣きそうになった私は、矢島君の近づく気配に気が付かなくて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます