第80話
「薫なんか特にそうだ⋯」
橋本君?
「あいつは優しすぎる⋯」
優しすぎる⋯。
矢島君は包帯を留めた。手当てが終わった足。
「どうして彼女を作らないの? その彼女も橋本君みたいに、申し訳ないって思うから?」
「それもあるけど⋯」
それも?
「俺、マジでモテるんだよ⋯」
普通ならイラつく言葉なのに。
綺麗な顔をしている矢島君が言えば、全く嫌味に聞こえなくて。
それほど、人間離れした容姿をもつ男。
「俺が特定の女を作ったら、他の女に絶対目付けられて、いじめられる」
いじめられる⋯?
「守ってあげればいいじゃない⋯」
私の言葉に、矢島君は乾いた声で笑った。
「女っつーのは、庇えば庇うほど、嫉妬する生き物なんだよ」
「⋯」
「24時間?365日見守る?ムリだろ」
「⋯」
「つーか、そこまでして守りたい女とか、いた事ねぇよ⋯。好きになるってなんだよ⋯」
異性を好きになる事が、分からない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます