第74話

「シャワーで血、流してきた方がいい」


シャワーって⋯


生徒の家で、シャワーで血を流す?




「い、いいから、大丈夫だから」


「あ?」


「生徒の家で、そんな事をする訳にはいかない」


「俺のせいでそうなったんだろ?」



俺のせい?

私の怪我が?


どうして矢島君のせいになるの?



「俺が逃げなかったら、転ばなかった」



確かにそうだけど。

でも、私の不注意でもあるから。



「さっさと入れ、血で床を汚すな」


「ちょ、ちょっと!!」



矢島君は無理矢理私の手をひき、浴室と思われる扉を開けると、そこへ私を押し込んだ。



「タオル勝手に使っていいから」



そう言うと、バタンと扉をしめ。


私は自分の膝を見て、さすがにこれじゃ電車に乗れない⋯。そう思ったら、シャワーを借りることにして。


生徒の家なのに⋯と、罪悪感と戦いながら、必死に痛みを耐え、膝に入ってしまった砂を落とした。

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