第71話
けど、ずっと立ち尽くしていたからか。
矢島君に会えたことの嬉しさで、段差があったことに気づかなかったからか。
「―――きゃッ、!」
コンクリートから、アスファルトへ変わる境目のところで、派手に転んでしまい。
ズルズルズルッ―――と、膝の皮膚が捲れたような感覚がして。転んだって脳が理解した時には、激しい痛みが、両膝に走った。
「痛っ――」
そこでハッとする。
矢島君っ⋯
せっかくやっと会えたのにっ!
また逃げられる。
今逃がしたら、もう会えない。
家の前で張っているってバレたら、もうここで待つことが出来ないのにっ。
痛む膝を我慢して、転んだ拍子に一緒に少しだけ擦りむいた手のひらを使って体を起こそうとした。
「何やってんだよ⋯」
え⋯?
と、思って、まだ膝が地面についている状態で、私は顔を上に上げた。
私から逃げようとした矢島君が、私の目の前に立っていて。
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