第70話

おかげで足はパンパン。

浮腫んで、靴がキツくなってきて。


家に帰れば、自身の手でマッサージするほど、足の裏やふくらはぎが痛かった。




五日目、やっぱりインターホンを鳴らしても出なくて。母親も、矢島君も帰っていない。


いつもと同じように、扉付近の壁にもたれてずっと待った。


やっぱりホテル街を探した方がいいのかもしれないと。もしかしたらお昼に帰ってきてるのかもしれない。

土日で一日中張っておこうかと思っている時、ふと、私の耳に足音が聞こえた。



その音に目を向けると、背の高い男が、駐輪場からこっちの方へと歩いてきていて。



私は咄嗟に「矢島君!!」と、声を出していた。



その声にハッとした矢島君は、今私がここにいることに気づいたみたいで。


眉間にシワを寄せた後、不機嫌な様子で、駐輪場の方へと逆戻りし。




逃げられてしまうと思った私は、「待って!!」と、矢島君を追うとした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る