第67話

「あの、失礼ですが、矢島君はお家に帰っていますか?」


『はあ?知らないわよ、帰ってんじゃない?』



帰ってんじゃない?

どうして母親が、息子が家にいるかも分からないの。

母親が、家に帰っていないということ?



『私忙しいから、また何かあったら留守電にでも入れといて』



留守電って⋯。

息子がどこにいるかも分からないのに?

行方不明なのに?



忙しいってなに?

ふざけてるの?



そう思った時には、もう通話は切れていて。



私はガチャンッと、受話器を勢いよく置いた。





クソジジイにジロって見られたけど、無視して自身の机へと戻った。


どうして自分の息子なのに、そういい加減な対応ができるの?

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