第62話

「⋯⋯何なんだよ⋯⋯」


眉間にシワを寄せ、やっと声を出した矢島君は、私を見下ろし。



「それ、私の台詞。何してるの」


「何って⋯」



私はジッと、綺麗な顔を見つめる。



「自分を大切にしなさいって言ったでしょう」



私はそう言って、片手で矢島君の胸元の服を掴んだ。

お酒を飲んでるせいか、それは絶対、普段ならしないこと。



「1人になるのが嫌だから?甘えるなっ!」


「⋯離せよ⋯」


「嫌だからってね、女の子と遊んでいい理由にはならないでしょう!!」


「離せっ!」

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