第58話

あんなにも言ったのに、矢島君は私の言葉が全く響いてない。矢島君のトラウマ⋯。

1人になりたくないと。




―――自分から動かないとダメ。



さっきの絢香の言葉を思い出す。


いつもなら絶対しないのに。

面倒臭いって。

勤務時間外なのにって。




「待ちなさい」



早く帰って、化粧落とし、風呂入って、

休みの明日は昼過ぎまで寝てやるって思ってたのに。




「今、何時だと思ってるの?」



私は逃がさないように、2人の前に立った。

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