馬頭の正体とオレの運命


 翌日。


「エレナは使えないわね」

「やっぱり僕が女装して行った方がよかったかな」

「あまりエレナちゃんを責めないでおくれよ」


 散々な言われようだ。


「世界が違い過ぎるのがよく分かった。オレたちには無理な話なんだよ」


 と返して仕事に出ようとしたオレの家の前に、白馬に乗ったどう見てもいいところの坊ちゃんにしか見えないやつが現れた。


「うちに何か用でも? お坊ちゃんの来るところではないぜ」

「エレナ。君に用があって来たんだよ」


 柔らかなブロンドの髪に青灰色の瞳のなんとも美しい青年は言った。んん? 青灰色の瞳? この声……。


「僕とダンスしたよね? エレナ。僕はプロポーズの意味も込めてダンスに誘ったんだけど?」


 アベルはとろけるような笑顔でそう言ってオレの手に口付けた。 


 え? ええ~?! 確かにダンスはしたけれど、プロポーズ?!


「だって君は結婚相手を見つけに来たんでしょ?」



 オレの後ろでオヤジと母さん、レオンが万歳をして飛び上がる中、オレは茫然とアベルの青灰色の瞳を見つめた。


 詐欺だな、これは。


「ブ男じゃなかったのかよ?」

「どんな想像してたの? まあ、被り物は被り物で複雑な理由があってね。おいおい話すよ」





           この話は終わり


                          

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社交界デビュー 〜ひょんなことから金持ちになったオレの運命〜 天音 花香 @hanaka-amane

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