呪い

第81話

リンのファイアの魔法で全体を乾かしてもらう。


服を着たままのダイブだったからね。


全身くまなくびしょ濡れだったからね。



しっかし


いや、さすがは王子。


上手かった。


魔法が。


うん。


焦げる可能性も視野にいれて身構えていたけれど、見事に調整された炎は、服と髪だけを綺麗に乾かした。


洗濯したてのように気持ちが良かった。



「ありがと、リン」


「ああ」



そうしてリンも準備が整い、スッとリンが両手を差し出したよね。



「??」



なんだ?


お礼が欲しいのか?


今、手ぶらで来ちゃったから何も



ポスっ。



「ぬ?」



レイラがあたしの頭の上に乗った。



炎の魔法を使うから、少しの間離れていてもらったのだ。



その瞬間、ガクーッとリンが膝から崩れ落ちる。



どうやらレイラに手に乗ってもらいたかったらしい。



「ケケケ」


「くっ、マツリのアホ!!」



シンプル!!


シンプルに悪口!!



「誰がアホだ」


『マツリ』


「うん?」



はわぁーっ。


可愛い声に呼ばれた!!


あまりの可愛さにデレッと表情を弛ませると、ンゲッて顔をしてくるリン。


そんなリンは放っておいて歩き出す。



『どこにいく?』


「村人達のところ。話しを」


『!!』


「のーーっ!?」



水がっ


水が大量に降ってきたぁぁあっ。



何故かあたしの所にだけ。



リンはケロッとしてる。


むしろ半笑いでこっちを見てる。



キーッ。



『アイツらっ、アイツらきらいっ』


「レイラ?」



折角、泣き止んでいたのにまたレイラが泣き出してしまった。



アイツら……ね。


間違いなくそれが指すのは村人達のことで、雨が止まないのはレイラが意図的にやっていたことだったのだ。


それは今、我が身をもって立証された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

RPG!! めけこ @mekeko-427

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ