第80話

うん、良かった。


話しは出来るようだ。



でも胸に張り付かれたままだと話し辛いので、あたしは両手を胸の前に差し出した。



するとチョコンとレイラがそこに乗った。



かっっわいぃぃぃいっ!!


ギャン可愛っ!!


ギャン可愛ですわーっ!!



レイラを怯えさせないように静かに悶えていたら、隣でリンも悶えていた。



そして自分もとばかりにソッと両手を差し出し……ガン無視されていた。



プククッ。



「名前はレイラ、ね」



「レイラ、か」



あたし達が名前を呼び笑うと、レイラはしゃくり上げてはいたものの泣くのを止めた。



「ねぇ、リン」



「うん?」



「もしかしなくてもだけど、雨の原因はこの子」



「もしかしなくても、そうだろうな」



即答するリン。



だよね。



まっ、とりあえず



「皆の所に戻ろうか」



色々あったけど。


死にかけたけど。



「そうだな」



頷いたリンと共に立ち上がる……も。



「リンさんよ」



「なんさんよ」



なんさんよ?



「レイラを連れて戻ったらイフィート火吹かないかな?」



カッパをやったとはいえ、雨嫌いっと不機嫌だったイフィート。



また前髪を焼かれたら堪らない。



「……」



目、逸らすじゃーん。


でも連れて行かないことには。



「よし、行くぞ!!」



「止めろ、背中にへばりつくなっ」



盾に、いざとなったら盾になってもらうべくあたしはリンの背中にピッタリとくっついた。



「守るのは前髪!!」



「違う」

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