第2話 第一回ミナミ会議

 場所は特別会議室。

 そこには、ミナミ以外のパーティーメンバー全員が集まっていた。

 上座に座るのはリーダーであるカイ。

 

 「今から、第一回ミナミ会議を始めます」

 

 カイの掛け声と共に、パーティーメンバーの気が引き締まる。

 カイは炎翼の中で一番背が高く、声も低い。

 

 「内容は勿論、昨日ミナミの脱退未遂事件のことだ」

 「だと思った」

 

 反応したのは副リーダーのミリ。

 カイの言う通り、昨日ミナミの脱退未遂事件が起こった。

 炎翼メンバー全員で引き止めたので、脱退することはなかったが。

 

 「そして会議するのはこれだ! 『もしかして私達がなにかやってしまったんじゃね疑惑』についてだ!」

 

 カイがそう言い放った瞬間、場がどよめいた。

 そしてなぜかエルリーナがそっぽを向いた。

 

 「私達が?」

 「そうだ。私達がミナミに不快感を与えてしまったのでないか?! ということだ」

 「だそうだよ。エル」

 

 ミリに視線を向けられるも、エルはそっぽを向いたまま。

 

 「エル。早く白状して」

 「なっ、なんで僕だけなの!?」

 

 ミナに勝手に犯人扱いされたエルリーナがバンッと机を叩く。

 エルリーナとミナは昔から犬猿の仲で、いつも競い合っている。

 

 「ミナもなんかやってるでしょ!」

 「やってるわけない。私はエルみたいに面倒をかけない」

 「絶対嘘だ! この前ミナミが言ってたもん!」

 「えっ嘘……」

 「ミナミが『最近ミナのことで疲れるなぁ』ってつぶやいてたもん!」

 

 下手くそなモノマネをしてミナに衝撃の話を突きつけるエルリーナ。

 ミナはズーンと効果音がなりそうなくらいに、わかりやすく落ち込んでいる。

 

 「エル、嘘つかないの。ミナもちゃんとしなさい」

 

 そうお母さんみたいなことを言ったのは、ロロナだった。

 ロロナは皆からエルリーナとミナのお世話係と言われている。

 

 「大体ミナミがそんなこと言うはずないでしょ」

 「どっ、どうしてそんなことが言えるの?」

 「ミナミが私達のことで不満を漏らすわけないじゃない」

 「そうだな。ミナミは何でも言うこと聞いてくれるしな」

 「それはカイが恐いからでは」

 

 炎翼内でのミナミの印象は、不満を漏らさず、何でも黙って言うことを聞いてくれる人らしい。

 

 「そんなことないだろ」

 「あるよ。だってカイにだけ敬語だし、リーダー呼びだし」

 「そんなこと……ないよね?」


 カイがチラッとミリのことを見る。

 ミリはため息をついて、カイの頭をチョップした。

 

 「いてっ」

 「本当にあなた達は……一人に責任を押し付けるんじゃないよ」

 「つまり、全員が原因だと?」

 「そうよ」

 

 全員がシーンと黙ってしまった。

 どうやら全員に心当たりがあるらしい。

 

 「はい、リーダーから白状してね」

 「そんなぁ〜……」

 

 こうして、強制的に原因となりそうなエピソード暴露会が始まった。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

最弱な僕は最強になりたい〜世界最強は自分が最強だってことに気づいてない〜 ほのお @kaorukurumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ