89・最後はね…

第89話

体調はまだ本調子ではないけども、徐々に戻って行くティス。


「少し元気になったな」

「うん。少しね」


リンがいつも通りにティスの顔を見に来てリンとの少しの会話を楽しむ。


「また来るよ」

「はい。待ってますね」


リンに言えない事がまた増えた。


「侍医、まだ内緒にしていてね」

「はい。カルティロス様、焦ると思います」


体調が悪かったのは次の御子・・がお腹に宿っていて血を吐いたのは疲れからだろうと侍医が説明した。


「御子に平気な薬湯です。お飲み下さい」

「ありがとう」


あれから王妃ヒナダリは、ナニ王子にこっ酷く叱られて面会に来なくなった。

挨拶の時は会うだろうけどと思っていた。


「テリー、お兄ちゃんになるのよ?」

「……」


スヤスヤと安心して隣で眠っているテリーに声をかける。

テリーと一緒に居れて元気を取り戻すティス。


「ティス、いつ言うの?」

「ハイアこそいつ言うの?ヤリー様に」

「うー…ん。落ち着いてからかな」


ハイアも赤ちゃんを授かって父親はテリー。

テリーもハイアに赤ちゃんが居る事を知らない。


「二人で驚かせようか?」

「それ、賛成ー!!」


ワクワクが増えた二人はそれぞれ自分のお腹を触る。


「テリー喜んでくれるといいな」

「喜ぶに決まってる!」

「リン王子はまた心配事が増えるわ」

「そうね。一生心配・・・・させようかしら?」

「それはそれで最悪だと思うけど?」

「そうね。でも、心配しないでって伝える」

「あっー…無理じゃない?」


お互い見合って笑いあったらテリーが目を開いて笑っていたからティスは、テリーに触れる。


「テリー、ご機嫌ね。ママ、嬉しいわ」

「あー、あー」


一生懸命お話をしているテリーに頷くティス。


「そうなの。そうね、テリー」



リンに秘密が増えた

一番最初の子供は流れてしまった事と血を吐いた事は一生言わないと決めた。リンには関係ない事だ。


「赤ちゃんの事はいつ言ったら喜ぶんだろう」


お腹を撫でてそう言った。

それだけは秘密・・に出来ないし、“リンに関係ない”事ではない。


「言うの楽しみね」

「そうね」


ハイアと再び笑いあった。


そして、赤ちゃんが再び身籠った事を言ったリンの反応は、ティスとの二人だけの秘密。

勿論、ハイアとヤリーも二人だけ秘密。

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最後まで秘密にするの。〜貴方には関係ない〜 @B4RS

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