第38話
「すごくないよ!私は、ただ、勉強して、いい成績をとったら、お母さんや先生が喜んでくれるから勉強してるだけだもん!だから、優樹君みたいに行きたい学校や夢があって勉強してる訳じゃないし……それに勉強が好きだなんて思ったこと今までに、これっぽっちもない!勉強してるのだって、お母さんや先生がいるからだし……つまり、私は、お母さんや先生がいなくなったら何もできない人間なの!」
私は一通り言い終わるとハァハァ息を切らしながら優樹君を見た。
…優樹君は、そんな私を見て呆然としている。
私は、そんな優樹君を見て、やっと我に返った。
「ごっごめんなさい!私っ……何か、つい感情的になって……」
それを聞くと優樹君は最初のうちは驚いてたようだったけど、すぐに満面の笑みを浮かべて言った。
「…ううん。何か美穂ちゃんのこと少し分かった気がする。最近ずっと喋ってなかったから。でも、やっぱり美穂ちゃんはすごいよ。自分のためじゃなく、人のために勉強頑張ってるなんて。僕は結局、自分のためだから。でも、やっぱり少しは自分のために頑張った方がいいと思う。だから、少しずつでいいから、そうしていこう。そのための訓練としても…風立大学、受けてみない?…嫌…かな?」
優樹君の、その言葉に慌てて言い返した。
「うっううん!嫌じゃないよ!…あの……私…その…頑張ってみようかな……?……風立大学……」
優樹君は、それを聞くと満面の笑みで答えた。
「えっ!?本当!?よかったー!一緒に頑張ろうね!」
その言葉を聞いて私も満面の笑みで「うん!」と言った。
「じゃあ、また明日!」
「あっ、うん、また明日ね」
私は優樹君と別れてから、ずっとニヤニヤしたままだった。
大好きな優樹君と同じ目標ができた。それだけで幸せだった。
私は、その勢いのまま家に帰って、いつもよりも数倍高いテンションで挨拶した。
「ただいまぁ!」
すると、お母さんも満面の笑みで出てきて言った。
「おかえりなさい、美穂。遅かったじゃない」
「ごめんなさい。友達と話し込んでて…それでね!お母さん、私…「何で言わなかったの~?」
clover heart エリカ @erika_h
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