第8話
時が経ち、ジョンは、
鍵は侯爵から暇を貰う前に、密かにスペアを作っておいた。
耳障りな悲鳴に苛立ちを感じたが、もう少しでスカーレットに会えるからと耐えた。
そして全ての者が息絶えると同時に、ジョンは地下牢に囚われている愛しいスカーレットの元へ足を運んだ。
後日、暗殺を依頼した賊は、口封じの為に毒を盛って殺した。
「侯爵として命じます……わたくしの夫になりなさい」
スカーレットは、権力を笠に着てジョンに求婚をした。
これはジョンの計算の内である。
ジョンはスカーレットが密かに日記を読んだことを知っていた。開かれたページが家を出る前と異なっていたのだ。
綴られた内容から、スカーレットは己が他の女に好意を寄せていると勘違いした。
特徴を偽っているが、スカーレットのことを指している。
スカーレットは知らずの内に、ジョンの手のひらの上で転がされていた。これからもずっと……。
(心優しいお嬢様は、一生罪悪感を抱くのでしょうね。それでもいい。これからも頭の中を私で埋め尽くして差し上げます)
ジョンは立ち上がると、スカーレットを抱き寄せて、唇を深く塞いだ。
「ん、あっ……」
ヘーゼルの瞳を潤ませ、甘い声を洩らす彼女に、全身の血が滾ってくる。
(お嬢様、お嬢様……可愛らしくて、どこまで私を狂わせるのですか?)
ドロドロに甘やかして、心だけでなく、未だ拓かれていない無垢な体も、己なしでは生きていられないうにしてやりたい。
(お嬢様、これからは命が果てるまで二人だけで生きていきましょう……ね?)
「お嬢様、愛しています」
ジョンは唇を解放させると、蕩けた顔を魅せるスカーレットのブルネットの髪に口付けを落とした。
end.
私のお嬢様 水生凜/椎名きさ @shinak103
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