2


「ねぇ、匠に頼みがあるんだけどさ。私たちのバンドに1週間でいいからギターとして入ってくれない?」


みんなは美少女からこんなお誘いを受けたらどう思うだろうか?

嬉しい?勘違いする?ハーレムウハウハ?

俺は違う。

結論から言うと

「めんどくさい。」だ。

理由は主に2つだ。

そもそも。彼女たちが嫌な思いをするのを避けるためにも入ることはできない。

そして俺はソロで活動する事を前提にギターを始めたのだ。今になってバンドに手伝いで入るにしてもそれを許さない人たちもいる。

「そっか、、、。」

そう言って彼女の顔が曇る。

その途端、俺は何か悪いことをしてしまった気持ちになりつい口走ってしまった。

「まぁ、練習を見てからなら、、、。」

しまった。そう思ったが時すでに遅し。

彼女は顔を輝かせ、

「ありがとう!じゃあ今日の放課後に桜通りのredに集合ね!」

俺はため息をつきながら、スマホを見る。

とある人から連絡が来ていた。


ちょうどいい。


ニヤニヤしている他のメンバーたちは軽く無視して、用事があるからとグループから抜け出して屋上に向かった。

若葉さんが終始固まっていたのには驚いたけどねw


用事を済ませた俺は教室に戻るために給水タンクの陰から出ようとした。

だが、人がいるのが見えてすぐにまた隠れる。

少し見ただけだが、若葉さんと同じクラスの真島くんだ。


「若葉碧さん!俺と付き合ってください!」

「ごめん無理。」

えぇ。

若葉さんにも結構冷たい一面があるんだなと思った。

告白した側のは何かブツブツ言いながら帰って行った。


一安心して出ようとしたところで誰かに声をかけられた。


「盗み聞きなんて悪い趣味してるね。」


見上げると、挑発的な笑みを浮かべた若葉さんが立って俺を見下ろしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君と過ごすちょっと不器用な日々 ぞーすい @zo_sui

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ