君と過ごすちょっと不器用な日々
ぞーすい
1
僕は新庄匠。桜花学園に通う2年生の陰キャだ。
いつも学校では1人でいることの方が多いし、友達も2、3人しかいない。おまけでオタクというなんとも救い難いキャラである。
僕は良い意味でも悪い意味でも自分や周りに期待しようと思わない。
元々は今みたいなキャラではなかったがある時に限界が来て自分を隠すようになってしまっていた。
だから僕は悪い意味で目立ってしまっていた。
そんな僕の今年のクラスには1人良い意味で目立っている人がいる。
若葉碧『別名:大きな癒し系』さんだ。
そんな若葉さんの第一印象はなんといってもその身長の高さである。
本人曰く173㎝あるらしく紺色の髪をウルフカットにしていることからボーイッシュなイメージを受ける。
実際、若葉さんは見た目通り運動神経がとても良いのである。
所属しているバスケット部は全国レベルで去年の全国大会も優勝しているし、兼任のバドミントン部では今年の県大会で優勝して全国大会への出場権を獲得している。
またプラスして勉強もできる。
この学園に入学してからのテストでは毎回学年1位を取り続けている。
まさに文武両道とはこの人のことを言うのだろう。
そんな完璧そうな彼女だが実は1つだけ弱点があるとみんなは言っている。
だいぶ意外だがギターが苦手らしい。彼女は知り合いの女子とバンドを組んでいてギターを担当しているらしいのだが、同じバンドメンバー曰く一向に上手くなりそうにないらしい。
なぜ、そんなことを友達の少ない僕が知っているのか。
それは僕の幼馴染、藍沢菜奈の影響である。彼女は僕が心置きなく話せる相手の1人である。
そして彼女は若葉さんのバンドのボーカルを担当している。だから僕は彼女からバンドの話をよく聞かされている。
まぁ、バンドの話を聞かされるのはそれだけの理由ではないのだが、、、。
若葉さんは自分がギターができないことが悔しいらしく毎晩自宅で練習しているらしい。
そんなことを考えながら彼女の方を見ているとチャイムが鳴った。昼休みが始まる合図だ。
僕は先にトイレを済ませてから1人で昼食を食べるために屋上に向かおうとした。
だが、2年A組の前を通った時に藍沢に捕まり彼女のバンドメンバーたちと一緒に昼食を食べることになった。
時々こんなことはあったが今日は少し違った。
「ねぇ、匠に頼みがあるんだけどさ。私たちのバンドに1週間でいいからギターとして入ってくれない?」
僕がギターを弾けることがバレてしまったのだ。
バンドメンバーたちはそのことを知らなかったらしく驚いている。
中でも1番驚いていたのは意外にも若葉さんだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます