第6章

第6話

「…お嬢様、本当に宜しいのですか?」


ルークは、心配そうな顔で萌架に尋ねる。


「ふふっ、私に二言はないわ。」


そう言って、萌架はブラウスの襟元を緩め、真珠の様な滑らかな首筋が露わになった。


「萌架お嬢様、大変お美しゅうございます。」


ルークは思わず、唾をゴクリと飲み込み、萌架の首筋に柔らかな唇を落とした。


その瞬間、萌架の肩がピクリと飛び上がる。

まるで、自分の身体が全て心臓になったかの様に…。


『私の鼓動がルークに聴こえたら…何て大胆なことを…。』


今更ながらに、萌架は心の中で恥じらっていた。


彼の吐息を直ぐ側に感じたと同時に、萌架の首が柔く喰まれた。


「んッ……!!」


鈍い痛みと共に、ルークが喰んだ所からゆっくりと血が滲んでいく。


その瞬間、萌架の身体に変化が起きた。


銀色に輝く美しいロングヘアに深紅の瞳。


「私…、ヴァンパイアになってる…!」


「とても美しゅうございます。萌架お嬢様…。

そして、私を救って下さり有難うございます。」


ルークはその場に跪き、萌架に礼を述べたが、萌架は、人差し指で彼の唇に軽く触れた。


「…お嬢様って呼ばないで、萌架って呼んで欲しい…。」


ルークは、萌架の可愛いお願いに頷いた。


「愛してる…萌架…。」


「私も、ルーク…あなたと永遠の時を共に…。」



人里離れたお屋敷に二人のヴァンパイアが暮らしていること…


それは、二人だけの秘め事なのです…。



fin…

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お嬢様の秘め事〜私の執事はヴァンパイア〜 如月 春音 @Kisaragi-Harune

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