第5章

第5話

穏やかな笑みを浮かべるルークに、萌架も微笑み返す。


「私、やっと本当のルークを知ることが出来た…とても嬉しいのよ。」


「それは何よりでございます。

さて…そろそろ戻りましょうか。」


ルークが椅子から立ち上がった瞬間、身体がふらついていた。


「ルーク!?大丈夫!?」


萌架は、咄嗟に彼の身体を支えた。


「貧血です…いつものことですよ…。」


そう語るルークの姿は、とても辛そうだった。


「…私の血、飲んでも良いよ…。」


萌架は、ほんのり頬を赤く染めて恥じらう様な表情でルークを見た。


ルークは、萌架の発言に驚き、目を見開いた。


「お嬢様…!それはいけませんよ。」


「どうして…⁉︎」


「お嬢様のお身体に傷を付けてしまうこと…そして、ヴァンパイアに噛まれた者は、ヴァンパイアになってしまうか…最悪の場合、命を落としてしまうからです…。」


ルークは、悲しげな目で俯いた。


「構わないわ…!」


萌架の意思の強い瞳、そこに迷いは無かった。


「お嬢様…どうして…。」


「私、ルークに出会った時から、何処か放っておけなくて、屋敷に連れてきて一緒に遊んで貰ったりしていたけど…いつの間にか、とても大切な人になっていたの。

…だから、辛い思いもして欲しくない。」


萌架は、真剣な眼差しでルークへの思いを口にした。


「ルーク、あなたを…愛しています。」


萌架は、ルークの唇に優しく口付けた。

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