第40話
意図が分からず困惑。
棚からぼた餅ならぬ、ポケットから鍵。
物凄いモヤモヤする。
本当か嘘か確かめたくてメールで追撃したけど、【来たら分かる】とだけしか教えてくれなかった。
つまり行ったら本当になるかも知れないし、行かなかったら永遠に嘘のまま。
本気にするか冗談にするかも私の判断に任せるってことだ。
しかも行かない選択肢を選ばす気なんて更々ないんだろう。
鍵なんて処遇に困るものを渡してきたからには、絶対にそう。
きっと会いに行かなくたって、あの嘘つきはそのうち痺れを切らして言ってくる。
鍵を失くして困ってるから。今すぐ持って来て、って。
持っている自分の鍵を鞄の奥底にでも隠しながら。
あのゲラ男。
最後の最後まで卑怯な。
「はぁー…。狡いなぁ」
誰も居なくなったホームの隅で溜め息を吐きながらしゃがみ込む。
全く。肝心な事は何1つ言わずにこんな…。
してやられた感が凄い。
それでも私は鍵を挿しに行くんだろう。
あの噓つきな唇から本当の気持ちを聞き出すために。
嘘つきな唇【完】
嘘つきな唇【完】 柚木ミナ @yuzuki-mina
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