第2話
2・
よう大太、「虹の橋のふもと」で元気にしてるか?
オレ、お前に伝えたい事がいろいろあってさ、今こうして一人の部屋で、お前の写真を見ながら想いに耽ってるところなんだ。
オレ? 元気だよ? ……と、言いたいところなんだけど、実は良いことばかりじゃなくて辛い日々を送っているよ。オレの
それはそうとして、オレは今いろいろと厄介な問題を抱えている。それが理由でつい今さっき「辛い日々を送っている」と言ったんだけど、その問題に解決の目処がついて、んで、ようやく明るい兆しが見えてきたんだ。その事を大太にどうしても伝えたいんだ。
な〜に、実は簡単な事だったのさ、とにかく酒をやめれば良かったんだよ、たったそれだけの事だったのさ。
あの頃は楽しかったよな。オレとヒロミとハッピーと大太の四人での暮らしは、本当に幸せだった。そういやオレのかつての
ともかく大太、お前がまだ6歳(人間の年齢に換算すると40歳)という若さで「虹の橋のふもと」へと逝っちまってから、ただでさえダメ人間だったオレはますますダメになっちまったんだ。オレは傲慢だったし、全てにおいて他罰的な人間だった、あらゆる物事を他人や状況や酒のせいにして自分を正当化していた。でも本当はそれじゃダメだったんだよ。今では認めているんだ、まだ「虹の橋のふもと」へ逝くような歳じゃなかったお前が逝っちまったのも、ヒロミが部屋を出て行っちまったのも、その責任は全て自分にあるって。……少なくとも今ではそうだったと心から思っている。オレは本当にひどい男だったし、飼い主でもあった。でも、心の奥底から本気でそう思えるようになるには、ちぃとばかし時間が必要だったんだ。
言い訳をする気は一切ない。だから頼む。今夜は一つ、そう思えるようになるまで一体どんな出来事があったのか、「批判やお説教は一切ナシ」にして、じっくりちゃんと最後まで聞いてくれ。もちろん、これが虫の良すぎる要求なのは自分でもよく分かってるんだ。でも、これからオレが話す内容は、あくまでも、当時まだ酒飲みだったせいで、未熟で他罰的で攻撃的だった自分の気持ちの再現に過ぎないんだ。
だからちゃんと最後まで聞いて欲しい。
念のために言っとくが、もちろん夜だからって、オレ、酒は一滴たりとも飲んでないからな。
…… そしてもう一つ言っておきたい事がある。もう二度と、絶対に、酒を飲んだりはしないからな!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます