第1話

  1・虹の橋


   

   原作者不詳      

   日本語訳:如月トニー

 

 その橋は地球と天国を繋いでいます。

 「虹の橋」と言う名の、それはそれは美しい橋です。

 この地球ほしで生前、誰かと一緒に寄り添いあって暮らしていた動物たちは皆、命の灯火が消えた瞬間、「虹の橋のふもと」へとたどり着くのです。

 そのふもとには丘や草原が広がっています。

 そこにはよりどりみどりの美味しいご飯と、きれいなお水、そして暖かい春の日差しが溢れています。

 年老いた仔たちは若返り、

 病気だった仔たちは元気になり、

 傷の痛みに苦しんでいた仔たちは健康な体を取り戻し、

 この地球ほしでの辛かった様々な出来事なんか、まるでみんな嘘だったかのように暮らしています。

 ただし、一つだけ満たされていない事があります。

 それはこの地球ほしで誰よりも強く自分を愛してくれていた「特別な人」との再会でした。


 それはみんなで一緒に草原や丘を走りまわり、楽しく遊んでいたある日の事でした。

 ある仔が突然遊ぶのをやめ、遠くをじっと見つめ出したのです。

 やがてその仔の瞳は涙で輝き出しました。そしてその仔はみんなにサヨナラも言わずに、まるで風のように一目散に走り出したのでした。

 かつてサヨナラも言わずに自分たちから走り去っていった全ての仔たちがそうだったように、その仔にもようやく、「特別な人」が来てくれたのです。そのあまりの喜びに、走り出さずにはいられなかったのです。

 その「特別な人」とは他でもなりません、この地球ほしで誰よりもその仔を強く愛していたあなた自身の事でした。

 あなたは自分の腕にその仔を強く抱きしめ、その目を見つめ、そしてキスをします。

 あなたとその仔は、もう二度と、絶対に離れる事はないと互いに強く誓いあいながら、やがてともに「虹の橋」を渡って行きました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る