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「あれも……その場しのぎで言ったわけじゃないから」

「あれって?」

「結婚のこと」


 わざと意味深な表情をして顔を覗き込まれたので、私は胸をときめかせつつもオロオロと視線を逸らせた。


「プロポーズはちゃんとするから。期待してて」


 うれしくてたまらなくなった私はここが路上だということも忘れ、貼りつくように彼の胸にピタリと頬を寄せた。

 すると彼は私の頬に右手を添えて妖艶なキスを落とす。


「琉輝さん、大好きです」

「俺のほうが何倍も惚れてるよ。もう離さない」


 離れられないのは私も同じだ。

 こんなに魅力的で、私の心を揺さぶる人はほかにいないから。


 これからもずっと琉輝さんと一緒に生きていきたい。


 生涯をかけて愛する人に出会えたボストンは、私たちの思い出の場所。

 またいつかふたりで行けたらいいなと、彼の瞳に囚われながらそう思った。



――― END.

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【完結】異国の地で出会った財閥御曹司は再会後に溺愛で包囲する 夏目若葉 @wakaba-natsume

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