第3話

無言のまま、行きついた先はカフェ。




お酒の弱い碧らしいお店だった。




窓側の席に座り、時を埋めるように会わなかった日々の話をお互いにした




「.......今、彼氏は?」


「いないよ、碧は?」


「いない。」





トクン、と胸がなった。




「あれから、ずっと伊織の事が引っかかってたんだ。あの時出した答えが合っていたのかって」


「....そう、それで最終的な答えは出たの?」


「.....今日、出た。」


「今日?」




碧は静かに、カフェオレを持つ私の手首にかかる袖をずらした



「?!」


「......ブレスレットしてくれてたんだね」





「......物に罪はないから」


強がりを言うのが精いっぱいだった




「.....こんなに可愛かったんだな、素直じゃない顔」


大きな手がほっぺに触れる





視線が絡み合い、碧が先に言葉を発した。



「外出ようか」


「.....うん」





・・・・・・・





しばらく歩くと雪が降ってきた

あの時と同じようにキラキラしている



「あの時と一緒だね」

私がいうと



「....違うよ、今日は隣に伊織がいる」




.........そっと唇を重ねた





「.....行こ」



静かな街並みの深夜、歩き始めた

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