heaven
第2話
私は、…貴方と出逢っていなければ
こんなに苦しむ事は、無かったでしょう。
これ程までに…
悲しくなる事も無かったでしょう。
…だけど出逢わなければ
あれ程の、幸せを感じる事も無かった。
…貴方と、もう会えなくなって
何年経つのでしょう?
でもそんな事を、今更…
聞いたところで愚問ですよね。。
その歳月を…認めたくない、だけ。
"叶わなかった"
貴方との未来を…認めたくないから。
出逢った頃の、貴方は
私に、とても優しく接してくれました。
でも、それは本当の優しさではなくて
自分の"欲望"を満たす為に、
私を手中に収める為の
……偽りの優しさでした。
なんて残酷な"優しさ"でしょう。
そんな事とは知らずに…
心を病んでいた私は
その優しさに救われていました。
"知らない"という事は、
時として…幸せを感じられるのです。
貴方と…肌を重ねる度に
「私は、愛されている。」のだと、
そう信じてしまいました…。
浅はかでした。。
私は…それまで、マトモに愛された事が
ありませんでしたから、
「愛」が、どういうモノなのかも…
よくわかっていなくて…でも貴方と
一緒に居られる時だけは本当に幸せでした。
しかし……そう思えていたのも、束の間。。
貴方は、徐々に…私から離れ始めました。
「忙しい。」が増えて、
"会えない"というよりも…
"会おうとしない"雰囲気でした。
まるで、子供が飽きた玩具を
いとも簡単に…捨てるかのように
貴方は、私を棄てました……。
私は…そんな貴方の気持ちを、
引き留めようとしましたが…無理でした。
…今、思えば
「最後に会った日」
あの日が、このまま…最後なのですね。
長い月日が経って。
もう貴方の、温度も指も髪も声も…顔も。
今となっては…記憶から薄れて。。
何一つ、思い出せなくなって
見えるのは、
果てしない…暗闇だけ。
黒い世界しか見えません。
「何モ見エナイ。」
この黒い世界の中で
私は、今…何を思えば良いのでしょう?
あれほど、狂おしいほどに…身を焦がすほど
"愛した"貴方は…もういなくて。
傍に居れなくて。。
逝き場の無い、この想いを抱えて
一人立ち尽くすだけ。
泣き叫んでも、喚いても…届かない。
それでも、今でも
「愛している」と、伝えたい私は…我ながら、
狂気じみているとしか思えません。。
…いったい、私はこの黒い世界で、
あとどれくらい生きるのでしょう?
苦しいのです。
辛いのです。
悲しいのです。
何故…生きる?
貴方の居ない世界で…
――――――――――END――――――――――
瞳ヲ閉ジテ見エルモノ【完】 白愛 @hakua18
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます