海の音。【完】―BL―

白愛

海の音。

第1話

…ザバーッ…ザバーッ…


この海の音を聞いていると


かなで、お前の居るところ


行きたくなってしまうよ。


ザザーッ…


そんなに、怒るなよ…奏。


ちょっと…さ


お前の居ない日々に


寂しさを感じただけなんだ。。



俺は…静かに、目を閉じた。








―3年前―


「かーなーでー!!」


俺は、海に向かって名前を呼んだ


…たぶん。聞こえてないな。。


全くもう!今日は、俺の誕生日だって


言ったのに、サーフィンばっかり!


「…ふぅ。」


砂浜に座って、かなでの戻りを待つ。


…こうして、海を見ながら


過ごすのも、もう慣れっこだ。


でも…奏にとって、


"サーフィン"が、一番ってのが


俺の、悩みの種なんだよな…。


一番は、"れん"って言ってほしいのに。


ザッザッザッ…。


「蓮~!呼んだか?」


…「呼んだか?…じゃないでしょ!!」


「何で?」


「今日は、俺の誕生日って、言ったのに…」


「憶えてるよ?」


「…え?じゃ、何で海に出てたの?」


「今日さ!めっちゃ!イイ波が来てて♪」


「じゃあ、俺との約束は?」


「えっ!…もうそんな時間なのか!?」


「とっくに!…過ぎてます!!」


俺は、そう言って部屋に、帰る事にした。


「…あ、おい!蓮~!待てよー!!」


もぉ!恋人の、二十歳はたちの誕生日より

サーフィンばっかりって…酷い!


俺は、部屋に着いて…


冷蔵庫にあった、奏が飲むはずの


ビールを、勝手に飲んだ!


「…苦いー!!」


そこへ、ウエットスーツのまま帰宅した


奏が、「あー!俺のビール飲んだの?」


「うん、飲みましたー!」


「蓮…もう、酔ってるのか?」


「だって、奏が!お祝いしてくれないから…」


ゴクゴク!…苦いー!!


「コラ!…蓮!!飲み過ぎだぞ!」


「もう、子供じゃないんだから!イイの!」


「お前、酒弱いだろ!もう飲むなって!」


「やけ酒くらい…飲ませて!!」



「……蓮。誕生日おめでとう。愛してる。」


そう言って、奏は…また海に向かった。。





奏の、最後の言葉は…


一生忘れる事のない、祝福の言葉になった。






ザバーッ…ザバーッ…


なぁ、奏。


あの時、奏は…


大切なモノを忘れてってしまったんだよ


「奏、ありがとう。俺も 愛してる。」


俺からの…返事。


聞こえてるかな……?


この、海の音と共に。

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海の音。【完】―BL― 白愛 @hakua18

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