月酔

カニバリズム

夜を想う

私は月が好きだ。

別に月に恋したとかじゃなくて、単純に好きだ。


街の中心部に天高く建っている大型ビル。

深夜の1時を過ぎた頃、そのビルのてっぺんに月が登る。

ビルの上についた…なんか赤いランプ。

夜中に明るく光るランプを横目に、今日も月が重なり始める。


特に今日は特別な日だ。

なにせ今日の月は満月なんだから。


ビルのランプなんか目じゃない明るさを放ち、満月がビルの上に登り、そして重なる。

ただ重なってるだけじゃない。

ビルが少し陰ることで月がより一層輝いているように見える。

赤く光るあのランプも、ところどころ白黒になった窓も、絶え間なく動き続ける街並みも……全てが月を目立たせる。


一人、川を跨いだ橋の上で月を眺める私は、なにか特別なモノに生まれ変わったような気がする。

心なしか、風も心地よい。


あぁ…そうか…やっと分かった。

私は月が好きではあるけど、それとはまた違う。


私は惚れたのだ。

あの輝く大きな月の姿に。


“私は月に酔っていた”


それは信じがたいようで、なぜかすんなりと受け入れてしまうような、そんな答えであった。

私は、そんな月を思い浮かべ、今日も床に着いたのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【解説】

少女は想像の中で思い浮かべていた月に酔いしれていただけだった。

本当はそんな理想的な月は存在せず、妄想を拗らせ、自己満足に浸っているだけであった。

つまりはただの厨二byo…おっと誰か来たようだ。

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