ゆらゆら

約田卓也

第1話

平均台落ちないように歩くごと死にたい気持ちとゆらゆら生きる

 

「死ね」と言い「生きろ」と言ってるその声のどちらが天使で悪魔だろうか

 

枕抱き時計の音を聞いている朝など来るな明日になるな

 

人間が一番不幸な生き物で今日もまたあの太陽が登る

 

父のため母のためにと働いて父母ふぼに苛立つ我に苛立つ

 

愛情を入れてあるだけの味噌汁に大事な出汁が入ってなくて

 

犬の糞取ることさえも下手くそな母のようには笑えない僕


振り向かず下駄箱上に小銭置く「タバコがないと生きられないでしょ」

 

犬猫を愛するように育てられいまさら親を守れはしない

 

階段を落ちるところを想像し落ちずに降りられ職場へ向かう

 

ポンコツと言われて尚も生きている仕方がないけど仕方がなくて

 

痛いのが嫌で結局ここにおり人を演じて生きねばならない

 

どこでもいい異常ありだと言ってほしい冷たい秋の健康診断

 

診断の結果は異常なしとありため息吐けばはっきり白く

 

僕の歌読んで元気になったという友のLINEが元気をくれた

  

おかえりを言いたい人から逃げようか赤信号の今ならできる

 

そしてまた自己暗示のためスマホ見る瞼ピクピク友のLINEを

 

明日われが死んでるところ想像し布団をかぶるよく寝るために

 

世を去りて次の日雑誌に詩の載ったみすずを思い三日を生きる

 

新聞の歌壇に落ちて今週を生きてくために短歌を送る


とりあえず寺山修司の年齢としまでは生きてゆこうか歌とか詠んで

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゆらゆら 約田卓也 @takuya137954

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る