ヤンデレ姉妹達のいる日常三話


昼休み、クラスメイト達が学食や教室で弁当を食べる中、俺だけは昼も食べずにある人物がやってくるのを待っていた。隣の席の睡蓮はクラスの女子生徒達に一緒に食べようと誘われて一緒に付いていくのを見ていた。


「お兄様」


そして目的の人物が俺を見つけて手を振りながら教室に入ってくると一目散に俺の所へと駆け寄ってきた。


「お兄様、今日の朝は一緒に登校できなくなってしまい申し訳ありません」


「いやその事はいいさ、それより二海華今日はどこで食べる?」


「今日は風がとても気持ちいいですしそうですね……屋上などいかがでしょうか?」


二海華と一緒に教室を出て屋上へと向かう、屋上の扉を開けて入ると俺達とは別の生徒達が数人屋上のベンチに座り昼を食べていた。その中には睡蓮もいて俺は急いで屋上の扉を閉める。


「どうかしましたかお兄様?」


「どうやら屋上はもう人がいっぱいみたいでさ、どこか別の場所にしないか?」


「そうなのですか、別に私はお兄様がよければどこで食べてもよろしいですが……」


「それじゃ中庭にするか」


屋上から中庭のベンチまで移動したベンチに座ると二海華からお手製のお弁当を手渡され中を開けてみたら二海華手作りのおかずが色鮮やかに並んでいた。


「そういえばお兄様、今日教室でクラスメイト達と話題になったのですがお兄様達の学年に転校生がやってきたとか」


一緒にお弁当を食べながら二海華は転校生について質問してきた。


「ああ、その転校生なら俺達のクラスに来たぞけど昼になったらクラスの女子連中に連れられて一緒にお昼に行ってたよ」


「そうなのですか、残念ですね転校してきたのがどのような人物か気になったのですが、女子生徒に連れられたという事はお兄様、その方は女性……なのですか?」


「そうだよ」


「お名前は?」


「さすがにそこまでは教えられないよ、彼女にもプライバシーがあるんだし。二海華だってもし俺がよく知らない人物の名前を二海華から教えてもらおうと聞いたら教えないだろ」


「確かにお兄様の言う通りですね、失礼しました」


「そんなに気になるなら放課後にでも教室に来てみればいいんじゃないか」


「いえ、お兄様にも迷惑をかけてしまうので止めておきます」


二海華と転校生の話をしていたら二海華の携帯が鳴り響いて二海華は携帯を確認する。


「二海華どうかしたか……?」


「いえお兄様なんでもありません、四織から写真付きでメッセージが送られてきただけです」


「四織から?珍しいな」


四織は姉や他の妹達と違って平日の授業中や昼間にはメッセージを送ってこない事を知っていた。


「はい、それが害虫が出たらしくて駆除をお願いされました」


「ああ、四織の部屋か……二海華がこの前家の掃除したばかりなのにな」


「そうですね四織にも言って聞かせているのですが、ですが今回は早めに知らせてきたのでよしとしましょう、それに今回の害虫駆除は私一人でも駆除できるかどうか」


「悪いな、いつも二海華ばかりに家の家事を任せて」


二海華の頭を優しく撫でてあげた。


「いえ家の家事は私が好きでやっている事ですので、お兄様は心配なさらないでください、それよりもお兄様そろそろ昼休みが終わってしまいますね」


学園にある大時計を見ると二海華の言う通りもう少しで昼休みが終わろうとしている時間だった他の生徒達も校舎の方に戻り始めているのを目撃する。


「俺達も戻るか」


「そうですね、それとお兄様……大変申し上げにくいのですが、今日は部活動がありまして帰りが遅くなってしまいます」


「帰りが遅くなるのかなら家の事は任せておけ」


「よろしくお願いします」


二海華に深く頭を下げお願いされた、俺と二海華は校舎まで一緒に歩いて戻り学年が違うので階段の踊り場で別れる。


「それではお兄様、午後も頑張ってください」


「二海華も頑張れよ」


別れる前にお互いに励まし合い、教室へと戻ろうとした所誰かに後ろから制服の襟を引っ張られる。後ろを振り返ると少し焦っている様子の幼馴染橘睡蓮がいた。


「なんだよ」


「なんだよじゃないよ、なんであの子がこの学園にいるのよ!?」


「あの子って……二海華の事か?」


「それ以外に誰がいるのよ、あの子がいるなんて聞いてないんだけど」


睡蓮に肩を掴まれ凄く揺らされる。


「二海華が俺の事が心配だからって言って、去年学園の外部から入学試験を受けて入学してきたんだよ、それに教えたくてもまさかお前が俺の学園に編入してくるなんて思ってなかったから」


「もっと早くから教えてくれればいいでしょう」


「悪かったよ、さっきも昼を一緒に食べようと屋上に行ったけどお前がいたから別の場所で食ったんだ。だからそこは褒めてくれていいだろ、それと一旦落ち着けここは廊下だ」


周囲の生徒達の視線は俺達の方に集まっていたので興奮気味の幼馴染を一旦落ち着かせて、俺達は別の場所に移動する。


「ここならいいだろ」


扉を開けて非常階段の踊り場までやってきた。


「それで、これからどうする訳……?彼女達に見つかったら私の人生即終わりだと思うんだけど」


「もう昔の事なんだし皆もうそこまで恨んでないだろ」


「甘いわね、これみて」


携帯の写真を見せてくる幼馴染、多分住んでいた外国の風景写真でも撮ったんだろと見ていたらそこによく知っている人物が写真に写っていたそこにいたのは一翠姉さんだった


「あなたのお姉さんよく海外でギャンブルしてるらいけど、それとは別で私の居場所とか人に聞いて回っていたのよ、この時は運良く見つからなくてよかったわ」


「それにこれも」


今度は別の携帯を手渡してきたが電源が入っていないみたいだ。


「確かコンピュータに強い妹さんがいたよね、多分その子だと思うんだけど私の携帯がハッキングされたのよしかもその時今いる場所の位置情報もバレた訳だからお姉さんも私の居場所がわかった訳」


コンピュータに強いと言えば三愛か四織だろうがハッキングする事ができるのは四織だ四織はハッカーでまだ中学生なのだがコンピュータセキュリティーの高い警備会社から仕事の依頼がくる程四織はハッカーとしてのレベルが高い。


「とある場所に持っていて見てもらったけど持っていた写真やデータもごっそり持っていかれてみたいでその携帯はもう使い物にならないって言われたわ」


「悪い……まさかそこまでしてたとは思わなかった、けど……皆も結婚の約束したって言ったくらいで恨みすぎだろ。それにあれは子供の頃の口約束みたいなものだから今となっては無効みたいなものだろ?」


「彼女達にはそれがまだ許せないんでしょ、それと……あの約束は今でも有効だから」


「それって」


睡蓮に聞き返そうと思ったら授業開始のチャイムが鳴り響いた。


「それに彼女達が私の事を恨んでるのは結婚の約束以外にもあるからね」


睡蓮が最後に呟いた言葉は小さくてチャイムの音も鳴っていたので聞こえなかった。


「何か言ったか?」


「ううん、何でもないよ、早く教室に戻ろうか、まさか転校初日で授業に遅刻するなんて思ってなかったよ」


幼馴染は笑って扉を先に非常階段の踊り場から出ていく、俺もすぐに幼馴染のあとを追う。

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ヤンデレ姉妹達のいる日常 ゆきいろ @nineyuki

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