ヤンデレ姉妹達のいる日常二話


俺の通っている黒百合学園くろゆりがくえんは小学校から大学まであるエスカレーター式の学園だ、俺は小学校の頃からこの黒百合学園に通っているので高校生になった今ではクラスメイトだけでなく学年の皆が幼馴染といえる程の存在だ。


教室に着くといつも以上に教室内が騒がしくなっていた。


「何かあったのか?」


「いや零夜れいや喜べ、このクラスに今日から転校生がやってくるらしいんだ」


「転校生?こんな一学期終盤の時期にか……?」


「俺もクラスの奴から聞いただけだから詳しくはないが、話によると最近まで海外に住んでいたらしくて転入の手続きとか諸々でこの時期になったらしいぞ」


海外といえば昔俺の近所に住んで遊んでいた幼馴染の女の子が海外に住む事になって引っ越しする事になったから日本に戻ってくるような事を先日電話で話していた。


「いやまさかな」


そんな偶然があるかと思っていた。


担任教師の隣には転校してきた女子生徒が一人佇んでいる、そして担当教師はまず初めに隣の転校生を紹介した。


「今日からこのクラスに転校してきた橘睡蓮たちばなすいれんさんだ彼女は最近まで海外に住んでいたが両親の事情によって日本に戻ってきたらしい」


「どうも橘睡蓮たちばなすいれんと申します。えっとなんていえばいいのか、その……これからよろしくお願いします」


彼女は深く頭を下げてクラス中に挨拶する。


「それじゃあ、席は後ろの席が空いてるからそこでもいいかな?」


「はい」


クラスの皆歩く彼女の事を視線で追いかける。


「お隣、よろしくお願いしますね」


「ああ……よろしく」


右隣の席に座る男子生徒に声をかけると男子生徒は少し顔が赤くなりながら声を出した。


零夜君れいやくんもよろしく」


「よろしく」


彼女が俺の名前を口にした途端クラスメイト達の視線が一気こちらに向けられた。


どうやら世の中には偶然というものがあるらしい今日俺のクラスに転校してきた女子生徒は昔よく遊んでいた幼馴染の女の子橘睡蓮だった。


一限目の休憩時間クラスメイト達の大半が一箇所に集まっていた。


「へー橘さん昔は日本に住んでいたんだ」


「そうそう、それで両親の仕事で海外に住むことになったんだけど、ある理由で日本に戻ってきたんだ」


クラスメイト達からの質問に答えていると他の女子生徒がある質問をした。


「そういえばさっき橘さん九重君の事名前で呼んでたけどもしかして二人は知り合いなの?」


「それは……」


「ほらほら、お前ら転校生が来てはしゃぐのはいいが、そろそろ授業を始めるから席に着け」


幼馴染が質問に答えようとした所で二限目の担当教師がやってきたチャイムが鳴っている事に気付かなかったクラスメイト達は急いで自分達の席へと戻る。


「ねぇねぇ」


「なんだよ」


突然隣の席に座る幼馴染から小声で俺の方に声をかけてきた


「一限目の時から私と目が合わないようにしてるでしょ」


「……」


黙って無視していたらツンツンと脇腹を小突かれた。


「何すんだよ……」


「どうした九重?」


「いえ、なんでもありません」


小突かれて少し声を荒らげながら立ったら担当教師に声をかけられた。すぐに席へと着席して隣の席を見るとニヤニヤと少し笑っていた。


「やっと見てくれたね」


目が合って笑顔を見せてくる幼馴染に俺は窓の方へと視線を戻す。


「なんでこの学園に転校してくる事俺に黙ってたんだよ」


「いやぁ言わない方が面白いなって、でも零夜君の両親には前から転校するのは前々から言ってたからもしかしたら知ってるかなって思ってたけど本当に何も知らなかったみたいだね」


どうやら両親は幼馴染が転校してくる事を知っていたが俺に隠していたようだ。


「睡蓮おかえり」


「うん、ただいま」


そして俺達は会話を止めて二限目の授業へと集中する事にした。

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