ヤンデレ姉妹達のいる日常

ゆきいろ

ヤンデレ姉妹達のいる日常プロローグ一話


ある日の朝、気持ちよくベッドで寝たはず。なのだが…起きたら妹達が俺のベッドに囲んで寝ていた。


それから、ベッドで寝ている妹達を全員起こして。なぜ自分のベッドではなく俺のベッドで寝ていたのか、問いただしたら、全員がこう答える。


「お兄ちゃんを狙っている女がこの家にいるから」


がるるると犬のような声で鳴き、威嚇と牽制をする妹達は放っておいて部屋を出た。そういえば妹達の中にはもう一人妹がいなかった、きっとリビング方にでもいるのだろうとリビングに入る。


「おはようございます、お兄様」


リビングに入ると、とても美味しそうな匂いがリビングの中から漂ってきた。そしてリビングのキッチンで料理を作っているのは。妹達の次女、二海華ふみか。二海華はこの家の誰よりも朝早くから起きてこの家の家事全般を担当している。


「そういえば、お兄様。先程からお兄様のお部屋から、暴れていたような物音がしたのですが……何かありましたか?」


「いや、なんでもないよ二海華。それよりとてもいい匂いがするけど……今日の朝ご飯は?」


「はい、昨日お魚屋さんに行ったら。いい鮭が入ったと魚屋さんのご主人が仰っておりましたので……今日の朝食は、ご飯と鮭とだし巻き玉子にお味噌汁を加えた和食にしようかなと思いまして、もうすぐ作り終えますのでお兄様は先に顔など洗ってきてはいかがでしょう」


「そうだね」


リビングから出て、洗面所の水で顔を洗いすっきりする。リビングに戻ってみると、先程俺の部屋で寝ていた内の妹。六女の六夢むむと四女の四織しおりが二人いる。


六夢はリビングのソファに座り、朝からテレビニュースなどを見ていて。四織は机に置いてあるPCの前に椅子に座り、俺には分からない何かコードのようなものを打ち込んでいる。


「お兄ちゃん、おはよう~」


ソファに座って、テレビニュースを見ていた六夢がリビングに戻ってきた俺に気付き声をかけてきた。


「おはよう六夢、四織」


「ねぇねぇ、お兄ちゃん。なんでさっきは黙って部屋からいなくなったの?」


タンと大きい音がリビング中に響き渡る。これは四織がキーボードを打ち込んでいる音なんかではなくキッチンから聞こえた音だ。リビングにいた全員がビックリしてキッチンに振り返ると笑顔で包丁を握る二海華の姿があった。


「まさか六夢、また……私に黙って。朝からお兄様に迷惑をかけたのですか……?」


「いやぁ、違うんだよ二海華お姉ちゃん。これは私が言い出した事じゃなくて」


「では六夢……お兄様に迷惑をかけた事は認めるのですね」


「あ……」


墓穴を掘ってしまった六夢、二海華はキッチンから出て。六夢の座るソファに近付いていく六夢は怯えてソファから立ち上がり、壁際の方にまで逃げるが二海華はゆっくりと六夢に近付き。壁際に追い込まれた六夢は壁際から逃げる事ができずに、二海華は六夢の首元に包丁を向けようとしていた。


「ふわぁぁぁ、おはよう~」


すると突然リビングの扉が開かれ大きなあくびをしながら入ってくる人物がいた。


「お母様、おはようございます」


二海華は持っていた包丁を咄嗟に後ろに隠しリビングに入ってきた母さんに挨拶する。


「うん、おはよう。それで朝ご飯は……まだできてないの?」


「もう作り終えていますので、すぐに準備いたします。なので少しお待ちください」


二海華は急いでキッチンへと戻り、六夢はホッとしたように壁へと背中を預けてへたへたと倒れ込んで安心する声をあげた。


「それにしても、こんな美味しい朝ご飯が毎日でてくるんだから私は幸せ者よね」


「お母様にそう言ってもらえるだけで凄く嬉しいです」


朝から二海華の作った朝食を食べながら呟く母さんに二海華は喜ぶ。


「そういえば二人はまだ降りてきてないの」


リビングに姿を見せていない長女の一翠ひすい姉さんと三女の三愛みあについて母さんが呟く。


「まぁ、一翠姉さんはつい先日海外から帰ってきたばかりだし。三愛も昨日は夜遅くまで配信してたみたいだから、二人ともまだ疲れてるんじゃないのかな……?」


「それは中々関心しないよね~」


六夢は二海華がじっくりと焼いて味付けもしっかりとしている焼き鮭を食べた後に呟いた。


「勝手にお兄様の部屋に無断で侵入するような六夢には言われたくないですね」


「だからあれは私がやろうとした訳じゃないって、トイレから自分の部屋に戻ろうとしたらお兄ちゃんの部屋の扉が少し開いてて。覗いてみたら三愛お姉ちゃんが兄さんの横で添い寝してたから……しかもすぐ後に一翠お姉ちゃんとも鉢合わせして、抜け駆けされると思ったから。つい私も……」


「待ってください、六夢だけでなく。一翠姉さんと三愛もお兄様の部屋のベッドで寝ていた訳ですか」


「四織お姉ちゃんも……」


「ちょ……六夢!?それは黙っている約束」


六夢は小さい声で四織の名を呟いて、黙々と二海華の作った朝食を口にしていた四織だが。今日初めて声を出した。


「へー、四織もなんですか」


「そろそろ仕事の時間だし私は行くわね」


母さんは、少し居心地が悪いのを素早く察知して。早めに朝食を食べ終えてリビングから颯爽と去っていく。


「お兄様、申し訳ないですが。私、姉さんと妹達に少しお話したい事があるので……今日は一緒に登校できないと思います。なので先に学園の方へ行っていただいてもらえますか?」


「ああ、それはいいけど。あの……別に俺もそこまで嫌じゃなかったし、そんなに怒らなくていいからな」


「お兄様、申し訳ないですが。いくらお兄様の言葉でも、それは聞きいる事ができません。黙ってお兄様と一緒に寝たというだけで私達の決めた協定に違反しているんです」


二海華が呟く協定違反という言葉、俺はあまり詳しく知らないが妹達が決めた俺に関連する事だった気がする。


「それじゃ行ってきます」


「はい、行ってらっしゃいませお兄様」


家を出る前にリビングを覗いたら一翠ひすい姉さん、三愛みあ四織しおり六夢むむの四人が二海華ふみかの前に正座させられているのを目撃した。

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