【短編】幼馴染と読むエロ本

のんびりした緑

第1話

「これなんだろう?」

「どうしたの、だいちゃん?」

父親の部屋をアレコレ物色し、面白い物が無いか探す二人

そこで見つけた普段見かける本とは違うもの

「わ!」

「だ、だいちゃんこれ見ちゃダメ!」

表紙が裸の女性になっているのを認識し、顔が真っ赤になった夏美が思わず大地の目を覆う。が、既に遅く認識してしまった。

「お父さんなんでこんなの持ってるんだろう・・・」

不愛想で厳格、だが優しい姿を見せない訳ではない父親が、所謂エロ本を持っていた事に驚いている所を、目を覆うのを止めた事によってエロ本の表紙をまじまじと見ている大地が

「なあなっちゃん。これちょっと見てみない?」

「え?」

とんでもない発言に思わず大地の方に振り向く夏美。

「なっちゃんのお父さんって厳しい人でしょ?」

「うん。」

「そんな人が見るエロ本。気にならない?」

「ちょっと気になるかな。うん気になる!でも・・・」

「どうしたの?」

うつむきながら呟く夏美の姿に好奇心を抑え身を案じるように尋ねる大地

「見てるの見つかったら怒られちゃう・・・」

「だったら俺が怒られる!」

「だいちゃん?」

「なっちゃんを誘ったのは俺!見つけたのも俺!だからなっちゃんは悪くないって俺が言う!」

俺に任せろと仁王立ちしながら堂々と言う大地。その姿に、また、大地と同じように中身が気になってしょうがなかった夏美は意を決し

「だいちゃんがそこまで言うなら・・・うん、見よう!」

まだ幼き好奇心旺盛な二人の抑えるものが無くなると、すぐさま行動に移し、エロ本を開いた


「女の人と男の人?」

表紙にはいなかった存在に困惑しながらも先が気になりぺージをめくっていく二人

「わー!抱き着いてキスしてるー!」

「キスしてるー!」

互いを求めあうようにキスしてるシーンを目を隠すよう、手で覆うように見せかけ隙間を開けマジマジと見ながらもページをめくり

「どっちも服脱いで・・・?」

「どうしたのだいちゃん?」

「いや、男の人のがちょっと気になっただけ」

「?そう」

自分のこんな色じゃないよなって・・・と男の人と思わず比較する大地

その姿は本に夢中になっていた夏美には見られていなかったが

「分かってはいたけど何言ってるのか分からないのがあるね」

「習ってない漢字もあるもんね」

夏美の発言に本の視聴に戻る大地はそう返し、二人でエロ本を読了した


「あの二人が何してるのかもよくわからないし、何が良いんだろう?」

「おしっこ飲まされて喜んでる女の人も良く分からなかったよね」

「ああいうの変態さんっていうんだっけ?」

読了した本の感想会を開く二人。だがまだ幼き二人に本の中身を理解するには早く、意味不明というのが二人の感想だった。そこに

「だいちゃん、私たちもあの本の真似をすれば分かるんじゃないかな?」

「え?」

突然の誘いと内容に驚き固まる大地。そんな状態を無視し夏美は発言を続けた

「だって何してるのか分からなかったんだもん。でも真似できそうだよ?」

(真似か・・・あれでもあの本って)

「キスしてたり服脱いでる所もあるけど、そこも真似するの?」

「抱き着いてキスするところだけ!その後の服を脱ぐ理由が訳わかんないもん!」

顔真っ赤にしながら大声で言う夏美。大地も確かに!っと納得する表情で

「ホントだ。脱ぐ理由が分からなかった」

「でしょ?」

「でもキスはいいの?」

「だいちゃんと私の仲よ?良いよ!だいちゃんこそ良いの?」

「なっちゃんとだったら嫌じゃないよ!」

「じゃあ真似しよっか」

真似すれば分かる。そう信じて疑わない二人はエロ本と同じように見つめあいながら抱き着きあい、そしてキスをする。お互い顔を真っ赤にしながら終えた。が、感想としては

「恥ずかしくて真っ赤になっちゃうね」

「体も熱くなってきたね。でも・・・」

「「これ服を脱ぐ程に熱いものなのかな・・・」」

と、服を脱ぐ理由になるか?ならないだろというのが二人の感想だった。

「大人なら分かるのかな・・・」

「お母さんとお父さんに聞いてみようよ」

「え」

突然の発言に再び固まる大地。だが夏美は顔を真っ赤にしながらも

「私は悪くないって言ってくれんでしょ?」

「・・・あ、当たり前だ!」

本を読む前に見栄を張った自分を僅かながらに恨みながらも、男に二言は無いと奮い立たせ仁王立ちしながら覚悟を決めるように言った

「それに分からない事があったら聞けってお母さんとお父さんがいつも言うし、分からない事だから聞いてみたいの」


「お母さんとお父さん!」

「なっちゃんのお母さんとお父さん!」

「あらあら。どうしたの二人とも」

「分からない事があって聞きに来たの!」

「私たちの分かる範囲でなら応えてあげるわ。ね?あなた」

「・・・あぁ」

仲の良い二人が抱いた疑問を訊ねにくる微笑ましい光景。特に自分の子である夏美が分からない事は聞く事を守っている姿に喜び、ちゃんと応えられるかと思いながらお茶を口に含み、分からない内容を言うのを待った。だが内容は

「なんでこれ服を脱いだの?」

「これ・・・男の人は何をしているの?」

エロ本の、しかもよりによって行為に営んでる物が分からないという、とんでもない爆弾発言に夏美の両親は思わず口に含んでいたお茶を吹いた



「あの時は大変だったよね」

「そりゃそうだろ。エロ本で何してるのか教えてくれって言われたらさ」

あれから十数年。疎遠になる事も無く良好な関係を築き続けた二人は、

所謂幼馴染になった。

だがそれをいつしかお互いその関係に満足できなくなり、互いが抱える想いを打ち解けあった。

その結果、今の二人は幼馴染、兼恋人の関係にまで至っている。

「お父さんは隠してたエロ本が見つかったとあたふたしてるし、荒らした事に怒ったり」

「と言っても怒られたの俺だけだよな」

「守ってくれたからね」

有言実行。夏美を庇い大地一人だけが夏美の父親に諭すように怒られたが、部屋を荒らして直さなかった事に対してのみだった。他は涙目になりながらも夏美を守ろうとする姿に毒気が抜かれたと言い、それ以上は何も言わなかった。

「お母さんもずっと誤魔化して何も応えなかったなぁ」

「応えられる訳ねえだろ。今俺らが小学低学年にこれ言えるかって言われたら言えないって」

「・・・ふふ、そりゃそうだ」

けらけらと笑いながら椅子に座りながらくるくる回る夏美。今になってみればなんという酷い質問をしたもんだと頭をかきながら思う大地。と、そういえばと

「俺が怒られてる時、夏美はお母さんに何言われてたんだ?」

「ちょっとね。怒られてないのは確かだよ」

ふーんともう一つ、この話題になったエロ本の末路を思い出すように語る

「あの後あのエロ本をまた探したけど見つからなかったよな」

「処分したんじゃない?」

「見られたらそりゃ嫌だろうなぁ・・・」

自分もそういうのがバレたら捨てるかもなーっと考えていると

「ねえ大地」

「どうした夏美」

何かを求める様に、不安な様子も見せながら大地に尋ねる夏美の姿があった

「きょ、今日ね。お母さんとお父さん。家にいないの」

「え、それ大丈夫か?」

「一人だと寂しくて不安だから大丈夫じゃない。だから泊まっていってほしいの」

「明日休みだけど、一応親に聞いてみるわ」

そういいがら携帯機を出し、親に連絡を入れる。泊まって行っても大丈夫か聞いたらその状態で帰ってきたら家から追い出すと逆に脅迫されたので泊まる事が決定した

「逆に泊っていけって脅された」

「なにそれ。でも良かった」

ぷぷぷと笑い、しかし安堵する夏美の姿に笑顔が戻った事に大地も同じように安心する。しかし本命はこっちと顔を赤くしながら夏美は大地に尋ねる

「あのエロ本。どこに行ったと思う?」

「え、夏美の父親が処分したって」

「私は処分したんじゃないとだけ言ってお父さんが、とは言ってないよ」

「じゃあ誰が」


「私だよ」


「・・・え?」

夏美が自分の本棚から、隠すように置いていた、とある本を取り出す。それはお互い一緒に見たあの時のエロ本

「私があのエロ本を回収したの」

「なんで夏美が?」

「だって」

エロ本で口元を隠しながら、目線を大地から外して恥ずかしがりながらもしっかりと

「大地とエロ本の続きがしたいって思ったから」

言葉にして意思表示した

「エロ本の続きってお前それ・・・まさかあの時の母親とのやりとりって」

「うん。続きがしたいなら成長して関係が良好のままだったらってお母さんに釘を刺されたの」

そう言うと一歩、また一歩と大地に向かっていく。そしてもう一歩進めば当たりそうな程に接近した

「今日は私たちしかいないの。明日まで帰ってこないの。だから・・・」


その先は勇気がでないのか、はたまた言ってほしいのか。黙ってしまう夏美。

大地はというと、ここまでお膳立てされられて動かない訳にはいかず、言葉にしていく

「夏美。」

「何?」

「エロ本の続きを・・・しよう」

「うん」

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