第13話

「ゴメンナサイね、今日は」

ポルシェの助手席に乗り込んだ絣は

運転席の誠也の横顔を見つめながら

ある感慨に捉われていた。

「ひどいじぁないか、十三個も質問を

羅列して。あれじゃあ体のいい吊るし上げだ」

「だからあやまってるじゃない。仕方がなかったのよ。

編集長に徹底的に取材してこいっていわれてたから」

誠也と絣は大学の先輩後輩の仲で、かっては恋人同士だった

こともあった。

「ねえ、ここでなら言えるでしょう。二人きりだし」

「何を」

「本当のことをよ。誠也さん手紙の差出人や

怪物の正体について何か知ってるんじゃないの?」

「知らん!」

誠也はそう吐き捨てるようにいうと、ポルシェのアクセルを

踏み込んで車を急発進させた。

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