第12話

「それではマスコミ共同記者会見を開きます」

用意された会場では、司会者が幾分、緊張した

面持ちで、スピーチを始めた。

「質問のある方は挙手してください」

一斉に五百名近い報道陣が手を挙げた。

「それでは、日毎新聞さん」

「えーっ、外間道さん。あなた宛てに匿名の

手紙が届いたということですが差出人に心当たりは?」

日毎の記者がパソコンのキーを叩きながら質問した。

「まったくありません。本当です」

誠也は偽りのない心情を述べるしかなかった。

「次」

また一斉に記者たちの手が挙がった。

「えーっ、それでは週刊怪物さん」

「週刊怪物の、榎田絣(かすり)です。我が社では

皆さんご存知のように現代に於ける怪物とは

というテーマで記事を組むことが多いのですが、

今回の途轍もない怪物の出現に正直

編集部一同歓喜乱舞しているところなのです」

「いいぞーっ。週刊怪物」

あちこちから掛け声やヤジが飛んだ。

「それで外間道さんにおたずねしたいのですが」

「なんでしょう?」

「なぜ、あなたに手紙が届いたんでしょう?そこには

必然的にあなたと容疑者を結びつける何かがあったはずです」

「と、いわれましても」

「外間道さん、何かを隠しているんじゃないんですか?」

「そっ、そんなことは」

誠也が言葉に詰まった。





















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