第12話
「それではマスコミ共同記者会見を開きます」
用意された会場では、司会者が幾分、緊張した
面持ちで、スピーチを始めた。
「質問のある方は挙手してください」
一斉に五百名近い報道陣が手を挙げた。
「それでは、日毎新聞さん」
「えーっ、外間道さん。あなた宛てに匿名の
手紙が届いたということですが差出人に心当たりは?」
日毎の記者がパソコンのキーを叩きながら質問した。
「まったくありません。本当です」
誠也は偽りのない心情を述べるしかなかった。
「次」
また一斉に記者たちの手が挙がった。
「えーっ、それでは週刊怪物さん」
「週刊怪物の、榎田絣(かすり)です。我が社では
皆さんご存知のように現代に於ける怪物とは
というテーマで記事を組むことが多いのですが、
今回の途轍もない怪物の出現に正直
編集部一同歓喜乱舞しているところなのです」
「いいぞーっ。週刊怪物」
あちこちから掛け声やヤジが飛んだ。
「それで外間道さんにおたずねしたいのですが」
「なんでしょう?」
「なぜ、あなたに手紙が届いたんでしょう?そこには
必然的にあなたと容疑者を結びつける何かがあったはずです」
「と、いわれましても」
「外間道さん、何かを隠しているんじゃないんですか?」
「そっ、そんなことは」
誠也が言葉に詰まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます