第5話

「どこへ行ってたんだ、ナズナ?」

 誠也が帰宅したナズナに聴いた。

「うん、ちょっと夜風にあたりにね。

何だかお腹いっぱいたべたら気分が悪くなって」

「そうか、大切な体なんだからな。気を

つけろよ」

「わかってる」

ナズナが明るく対応した。

何事もなかったかのように。

「オセロでもやらねえか? やりかた

知らねえけど」

「知らんのかい!」

ナズナがそう突っ込んだ。

「編集部にな」

「えっ?」

「変な投書があってな」

「どんな?」

「宇宙を食べ尽くそうとしている怪物がいるから

せいぜい気をつけろ、だとさ。なっ、どう思う?」

誠也がナズナに感想を求めた。

「まあ、そういうこともひょっとするとあるかもしれないわね」

「へえ」

「なによその気のない返事は?」

「いや、おまえは歯牙にもかけないのかと思ってたから」

 ナズナが口を手でふさいだ。

「そんなことないわよ。わたしこう見えて

すごいロマンチストなんだから」

ナズナがその場を取り繕うようにしてそう言った。

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