第4話

「がぶっ」

サングラスをかけて麦わら帽子を被った

女の口がパカっと大きく開いたかと思うと

男の頭を丸呑みにした。

「ああ、うまい」

女は少し満足したらしく近くにあった

公園のベンチに腰を下ろした

「ああ、しかしわたしは宇宙が食べたい」

女が喉を搔きむしった。

「だが宇宙を食べて行けば、やがてそれは

私自身の消滅に繋がる」

女の苦悩は底知れないものだった。

女がサングラスを取り、麦わら帽子も取った。

ナズナだった。

誠也の妻、ナズナ。

ナズナは怪物テンパーセントの病原体に

犯されていたのだった。

「さあ、誠也のところに戻ってあげなければ」

ナズナはそう言うと、ふらつく足取りで

白金台のマンションを目指した。

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