第3話
「ただいまーっ」
誠也がその日も自宅のある白金台のマンションに
戻った。
「おいナズナ。腹が減った。飯にしてくれよ」
誠也が洗濯物をしていた妻のナズナに声を掛けた。
「いま、ちょっと忙しいの。レンチンして食べててよ」
「ちぇつ。まあ、仕方がないか」
誠也がレンジでお好み焼きをチンした。
「しかし、便利な世の中だよなあ。こうすれば
すぐに食べれるんだから」
「あなた、何年前の人間よ。ネアンデルタール人?
今どきそんなことで感心するのは地球上で
あなたくらいよ」
ナズナは容赦なかった。
「それは言い過ぎだろう。康太はどうした?」
誠也が一人息子の康太の名前を口にした。
「今、学校。康太小学校で新しくサッカー始めたらしいのよ。
何だか楽しくって仕方ないみたい」
「そうか。そりゃよかった」
「あなた」
「何だ?」
「できちゃったみたい」
ナズナが顔を赤らめた。
「なんだオデキか?」
「バカ、赤ちゃんよ」
「本当か?」
誠也がナズナのところにやってきてナズナの
両腕を握り締めた。
「うん」
「やったーっ」
しかし、それは途轍もない呪われし子の
誕生の前触れだった。
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