お泊り

家の中に入り、リビングのソファに座っていると前来た時よりもかなり片付いていることに気づく

「片付いてるって...思いましたよね?」

唐突に奈久佐は話し掛けてくる

「散らかす人が亡くなったので一度片づけたらよっぽどのことがないかぎり掃除しなくてよくなったんですよ...」そう言うと菓子でも持ってきますと言って彼女はキッチンへと向かう

一瞬みた奈久佐の顔には哀愁が漂っていた。

俺は返せる言葉もなくただ俯いていた



キッチンから戻ってきた奈久佐は「はいどうぞ」と言うと俺にケーキ菓子を渡してくる

俺はそれを受け取ると封を開けて一口で食べる

クリームの甘さが口中に広がる

食べ終わると俺は奈久佐に質問をする

「そういえば両親はどうだったんだ?」

そういった瞬間一気に雰囲気が重くなる

「聞きたいですか?それ...」

「ああ」

「何も。ですよ連絡しても相も変わらず既読しかつけずに返信はしなかったですよ...」そう言い奈久佐は舌打ちする

奈久佐の両親は家に帰ってくることはない

帰ってこないとはいっても毎月生活できる分のお金などを奈久佐の口座に振り込んではいる

「でもまぁ」奈久佐はハッと馬鹿にしたような笑みを浮かべ、「別に期待してたわけじゃないし来るなって思ってましたから」と言う

「そう...か」俺はなんとかその一言を絞り出す

会話がなくなった

俺は母を待たせていることを思い出し、「じゃあ、そろそろ帰るわ」と言って立ち上がり玄関に向かう

そしてドアを開けると....

そこに車は無かった

「えっ....ちょ!?」俺は急いでメッセージアプリを開くと母からメッセージが送られてきていた

開くとそこには一言....「今日は泊まりなさい」と送られていた

「つまり...今日は奈久佐の家で過ごさなきゃならないってことか!?」

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ある日彼女が死んだ ルイ @ruisyousetu

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