最終回第5話:いまだよこしまなるものと俺たちの仮説
*誰が語ったか
もう生きていたいとは思わない。
お
考えたんだ。
生きて幸せをつかんでみようって。
インターネットの弱者を食い物にした幸せとも違う、弱さをそのまま持ちながら葛藤し続ける人生を。
その時に気がついたんだ。
終わりがないのならもう生きていく意味なんてないって。
だからマンションの上へ行こう。
今日でこの日記も終わりだ。
だって誰も助けてくれないから。
*
また悪夢を見た。
友を助けられなかったあの日の自分。
追いつめてしまったかもしれないとなげいた日。
今でこそマイワンワーズに救われているが自分は何も救えなかったといつも悪夢の後に海へ出かけてはコーラを飲んで忘れようとする。
友の自殺ではなく悪夢だけを忘れたい。
自分は周りから言われると明るくて面白いから友人にもめぐまれていて
好き…はちがうか。
友へのつぐないへの選択だと。
でもそれはただの
いつも
見方によればそれは誰からも
もっとはやく強くなっていれば友の手をにぎりかえし、そして彼の話をちゃんと待って最後まで聞いて味方になっていたら…。
「なんで止められなかったんだろう」
前回も
まさか3人目がいたとは。
〝よこしま〟について何度も調べていたのに!
「俺はいつも
現実は厳しすぎる。
*
たかが人間と思っていた。
そんな時間はない。
まずマイワンワーズメンバーについて。
6人で
残り3人はいまだ姿を見せない。
人間年齢で19歳。
男性。
マイワンワーズに入ったきっかけは格闘技の試合後、助けられなかった友にたいしてむくいることが出来ずにいた彼を
戦闘スキルは充分だったがなるほど。
詳しくしらべればプロの戦士だったのか。
20歳男性。
戦い慣れているが普段はパンと甘いものを好む青年。
ケンカも強く、
その時の記録は
まさか人間もこれだけ強いやつが何人も目立つことなく暮らしているとは。
やばい生き物だ。
そして
21歳筋肉質男性。
「これだけの筋肉質なのに見た目では分からないか」
「マイワンワーズと話し合いだ。 あと3人もひかえているのならこれ以上、影で依頼を受けても
*
いつの間にか
話している人間は自分がどれだけ
情がわいたわけではない。
きっかけが
この人間もまたそのうちのひとり。
「人と話すよりも盛り上がるなあ。
「はっ。 そんな気休めしたところでまた悩むだけだ。 ブログネタが増えることはあんたにとって死にたくなるだけじゃないのか?」
「面白い返しをするなあ。 人間じゃないとあまり傷つかないよ。 それでも人間関係はせまってくると考えるといつか君にたのむことになるのかな」
結構話しているのになかなか依頼までは聞けない。
人を恨んでるわけじゃないのか。
もっとリサーチしないと
「もう死んでもいいって考えるのはエゴなのかな。 そんなに結婚だとか学歴とか仕事とか大事なのだろうか」
破滅願望持ちならそう考えるか。
そもそも幸せをうたがっていない。
自分の言葉で語れない幸せは苦しい。
いつもなら弱味につけこむのに今回は
「いつでも頼んでいいぞ。 頼まれればお前の気に入らない人間を殺してやるからさ」
「いいよそこまでやらなくても。 いい歳して人間じゃない誰かと話せるのは新鮮だからさ」
そうか。
あきらめてる人間の会話は常に
このままじっくり話し続けておくか。
もしもの時のために。
はたからみれば何か情が
*
マイワンワーズに依頼があった。
なんと〝よこしま〟たちからだった。
かっこいいイケメンだなあ。
「シャッターチャンス! やあイケメンくん。 こう見えて俺は恨みを忘れないんだ」
「やめろ
3人は辺りを見渡して
すると
「前に俺たちの仲間が依頼だからと人間たちを
「君たちの目的がどのようなものであれ、俺たちは人々を守るために活動している。 君たち〝よこしま〟たちだけでなく、誰かがを人々を傷つけるのであれば守るだけだ。 そして今回は何が目的なのか教えてほしい」
「俺たちはそれほど戦闘が得意なわけではない。 独立した〝よこしま〟の仲間、
「つまり自分たちが俺たちマイワンワーズとお仲間の活躍で不利になったから
おそらく
「
すると廃工場に突然大きな音がひびいた。
誰か人をつれている黒い影がいた。
「お前らの考えることはおみとおしだっての」
「こいつが
*
まさか〝よこしま〟たちと協力することになるとは。
俺たちはそれでも自分たちの強さを過信しない。
なにせ次の相手、
「
何も言えない他の〝よこしま〟たち。
「
俺はまっさきに
「これで全ての競合相手を消せる。 よかったなあ。 もう自殺しなくてもしてもいいぞ人間」
自殺?
いつもみる悪夢が俺の中でよぎった。
まさか
だとしたらどうする。
助けるに決まっている!
「ぐあっ!」
俺は
「俺は〝よこしま〟から絶大な信頼をえている。 さらに裏で同族である人間を憎む他の者からほぼ全ての人間を減らすようにな。
すると
「はやく逃げるんだ」
「そ、そんなあんたは」
青年の目はあの時の…自殺した友と同じ死を覚悟した目をしていた。
「これ以上生きてたって人間はお前たちをなんとも思わず生きづらくするだけだ。 これは
青年へ高速で何かが向かう。
そこで俺はかつての友のことを思い出し、青年を運良く攻撃からふせぐことができた。
「があっ、ああ…」
ちゃんとマイワンワーズ製の装備をしてきたとはいえ口から鉄の味のする胃液が出た。
そして、走馬灯のようにあの日を…過去を思い出した。
*
2023年冬。
酷暑の影響でそこまで寒くないと言えば嘘になる。
冬は冬だから。
「大学や専門に行かずプロファイターの道か。
「それ
夢に向かう人間はそんなにかっこいいのか?
もちろん当たり前だとは思っていない。
それが普通じゃない友がいたから。
高校も卒業が決まったし、
会いに行くか。
高校へは行ってない。
それは彼が「何も理由がない」と言っていたから。
それでも俺は
格闘技は好きではなかった彼も最初は俺を応援してくれた。
中卒にたいして現代日本は
格闘家の仲間でも世間の厳しさ覚悟でプロを目指していた者もいたから、
つもりだった。
高校卒業までの間にだんだん会えなくなった。
そして久しぶりに彼のマンションを訪れたときには
屋上へ行くと
「お、おい! 今助ける! だから…」
その時、
「お前らはもう未来を約束されている。 俺はもう・・・産まれた時から・・・」
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ
結局止められなかった。
その時見た彼の死体を今でも
灰色の景色のまま、嘘の笑いをまぜて高校を卒業した俺は試合前の練習をかかさず
考えたがもう彼は戻ってこない。
社会が殺したのか?
世間が殺したのか?
俺に何が出来たんだ!
「何も…できなかった…」
その時に格闘技で知り合った仲間からマイワンワーズについて知り、メンバーが俺をスカウトした。
「俺は誰も助けられなかった。 俺を仲間にいれても足でまといにしかならない」
マイワンワーズに入ったばかりはスれていたっけ。
そこでメンバーのひとりが含みはあったが俺に説得をしてくれた。
「人助けは定義による。 救うことは簡単じゃない。 行動だけでなくちゃんと言葉で価値をつくり、誰のためになにをいつやり、それはなぜかを言葉にしないといけないからだ。 お前ならそれができるはずと俺たちは信じている。 今は信じろとは言わない。 お前の活躍をたよりに俺たちも理不尽と戦うからさ」
そうだ。
まだ俺は何も形にしていない!
それでも、もうひとりの青年を
それは助けたもののエゴで、本当はよくなかった行動かもしれない。
それでも…見捨てられるかよ!
「ぐおおおおおおおおおおおおおお」
*
「ふっはっはっはっ。 なんだお前らだらしない。 協力したばかりなのに
まさか全員がやられるとは。
なんて強さだ。
「俺は人間もクマも殺せたんだぜ? お前らごときにやられるわけねえだろ!」
まずはやっかいな俺たちを
〝よこしま〟の
「うおおおおおおおおおおおお」
するとどこからかおたけびが聞こえた。
まさか
まさか?マイワンワーズ製の
リスクもでかいからいざというときに使うよう何度も説明をうけたのに。
いやいや。
今がその時じゃねえか。
「
いまは四の五のいってるばあいじゃないか。
「
「ふん。
拳に蹴り、そして投げ。
空中まで飛んで戦い最後は
「くっ。 俺が…俺が人間なんかに! ゆ、ゆるさん。 くそおおおおおおおお」
どこまで飛ばされたのかは
*
こうして多くの
ただ労働をしているよりもさみしくないからと。
もしかしたら自殺を求めていた青年が〝よこしま〟とマイワンワーズの架け橋となり、人間との〝よこしま〟との関係をとりもつかもしれない。
「まだつぐないはやめないからな。
〈了〉
よこしま祓いマイワンワーズ 釣ール @pixixy1O
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