8.インフルエンサーとしてのスコッパーの作品紹介基準

 前回の記事「スコップ/スコッパーって何?」において、「スコップに加えて作品紹介までする人はインフルエンサーと言うのが適しているのかもしれ」ないとスコッパー関連エッセイの著者かつ『なろうファンDB』の管理人新大宮さんが考えていらっしゃることを紹介しました。


 それを聞いて私は、 「じゃあ私もインフルエンサーかぁ、デヘヘ」と一瞬思いました。でも紹介させていただいた作品の作者の皆様には申し訳ないのですが、インフルエンサーと言える程、私に影響力はありません。


 誰もがWeb小説界(というか小説家になろう内)で文句なくインフルエンサーに認定するであろう方が、小説家になろうで『読み専が紹介する『なろうお気に入り作品』』(完結済)を投稿していたひょろさんです。


 このエッセイは、新大宮さんのエッセイ『スコッパーは作品紹介エッセイに挑戦したようです』に言わせれば、小説家になろうのエッセイジャンルにおける「キングオブエッセイ」です。ひょろさんのエッセイで紹介されたら、ブックマークが24時間以内に100件以上増えるのもザラだったそうです。紹介前は総合ランキングに登場したことすらない作品が多々だったのに、そういう作品も紹介後に総合ランキング入りを易々と果たしたと言います。


『読み専が紹介する『なろうお気に入り作品』』(ひょろさん作)

https://ncode.syosetu.com/n5553dx/


 このエッセイの2024/10/4現在のブックマークは実に22517件(!)というモンスターエッセイですから、その影響力も納得です。今年4月に完結しましたが、今も小説家になろうの総合ポイント順とブックマーク登録数順でランキング1位に輝いています。


 このエッセイは影響力だけでなく、内容的にも驚異のエッセイです。2017年4月に作品紹介を初めて完結までの7年間でなんと586作品(!)も紹介しています。単純計算で1年につき83作品強も紹介したことになります。1年は52週か53週ですので、休まずに毎週1回紹介しても年に52作か53作しか紹介できない計算になります(それでもすごいですが)。果たして質的にも量的にも時間的にも継続して私にできるかどうか、自信がありません。


 さて、ひょろさんはどのような選択基準で紹介する作品を見つけて選んでいたのでしょうか。詳細は後述しますが、ひょろさんは企画などでかなり仲が良い方に勧められたもの以外は、確固たる選択基準に当てはまるものしか読まないし、紹介しなかったそうです。


 ひょろさんは、読者にも同じ条件をつけて1人3作品まで感想欄で推し作品を推薦するのも許していました――と言うか、いつの間にか読者が推薦するようになったそうです。ただし、他薦作品を全部掲載したわけではもちろんありません。それに、なんとかして3作品以上推薦しようとする人や、条件外の作品を推薦してくる人が続出して悩みの種になったようです。私の小さな自主企画でも条件破りが頭痛の種になったのに、こんなモンスターエッセイでは言わずもがなでしたでしょうね。


 ひょろさんが紹介した作品は、ハイファンタジーとローファンタジージャンルがほとんどですが、現実世界(恋愛)と異世界(恋愛)ジャンルの作品も少しあります。基準は、前書きによれば、BL、TS、女主人公(性別不明含む)、VRMMO、10万文字以下(短編含む)、ハーレム(現実世界の恋愛)。


 ひょろさんがどのように検索して紹介する作品を見つけていたか、以下の短編エッセイに書いてありますが、それ以外に検索条件をあまり絞っていないので、結構しらみつぶしに検索結果を見ていったようです。なんだか一時期の私のようです。


『読み専が紹介する『なろう作品の探し方』』(ひょろさん作)

https://ncode.syosetu.com/n2857hf/


 ひょろさんがこんなにきちんと説明していても、読者が除外基準に引っ掛かる作品を推薦してきたり、除外の理由を聞いてきたりしたので、2020年4月15日の活動報告に詳細な理由までつけて説明されています:


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/865270/blogkey/2543461/


 その理由をすごく乱暴なまとめ方をしてしまうと、BL、TS、VRMMO、現実世界のハーレムは、ひょろさんの個人的な好みもしくは生理的な理由で受け付けられないようです。ハーレムは特にひょろさんのハッピーエンド主義に引っ掛かったみたいです。女主人公忌避と字数制限は読書スタイルの問題で、ひょろさんは主人公になりきり型かつ、どうせ紹介するなら読み応えのある作品を紹介したいからだそうです(活字中毒読者の目線で逆に書いていましたが)。


 個人的にはBLが除外されたのが少し残念です。私も以前はBLを読まなかったんですが、自分でBL×NL作品(カクヨムでは掲載不可)を書いていて(それでも純粋なBL作品は書いたことがない)、カクヨムでもキャアキャア言いながらBL作品をいくつか読んでいます。


 私は、色々なジャンルの様々なテイストの作品を読みたいし、皆様に知っていただくきっかけを提供したいので、エッセイで紹介する作品にあまり厳しい選択基準はつけないと言うか、つけたくないのですが……でも敢えて私の好みを言いますと(えっ、誰も知りたくない? そんなぁ……):



・大好きジャンル・要素:恋愛小説、特にシリアスなヒストリカルロマンス、いわゆる異世界恋愛系(特に西洋が舞台)、ドロドロ愛憎劇万歳! 元サヤからのハッピーエンドが特に好み。ドアマット(特に不憫男子)、イケメン、陰キャ、ヘンタイ、TL。


・好きなジャンル・要素:ヒロイックファンタジー、歴史小説(舞台と時代は問わない。改変もの含む)。クズ男(小説の中だけ)、か弱いヒロイン、ほどほどのヤンデレ、ほどほどのツンデレ、焦れ焦れ恋愛、セックスレス(小説の中だけ)、不倫(でも元サヤがいい)、逆行/死に戻り、当て馬救済。


・割と好きなジャンル・要素:バッドエンドやメリーバッドエンド(メリバ)、悲恋も大丈夫。ドロドロは恋愛じゃなくても人間ドラマでもいい。ノンフィクション(料理エッセイも)、BL。


・あまり好きでないジャンル・要素:ダンジョンとか出てくる冒険ファンタジー。身分差恋愛(女性が下の身分のもの)、単純な溺愛、身代わり(溺)愛、後宮、ハーレム・逆ハーレム。


・好きでないジャンル・要素:グルメ×ファンタジー(小説でなくてエッセイは好き)、スローライフ×ファンタジー、怖過ぎ・グロ過ぎな小説。VRMMO、NTR、チート、過激なざまぁ・復讐、百合。



 こうして並べてみると、我ながら無茶苦茶うるさい条件つけていますね。でも私は色々読む雑食読者なので、あまり好きでない要素が入っていても読んでみることがあり、読んでみるとはまる作品もあります。


 最初は上に上げた要素に合う作品を多く紹介していくかもしれませんが、なるべくファンタジー以外のジャンルの作品も本作では万遍なく紹介していくつもりです。でも、今まで他の感想・紹介エッセイであまり(?)紹介されてこなかったドロドロ愛憎劇とBLは恋愛ジャンルに別枠を作って特別紹介していく予定です。


 私の好きでない要素を含む作品は、申し訳ないですけど、今まで紹介した作品のような熱量を持って紹介できる気がしないので、本エッセイでは取り上げません。それから最初は迷っていましたが、同じような理由で、他薦も自薦も含め、やはり本エッセイでは紹介してもらいたい作品を募集しないことにしました。他の紹介エッセイや批評エッセイで、条件破りの推薦作品の対応に対する苦労や、厳しい批評をする・受ける精神的な負担を知り、とてもではないけど推薦作品に対応できないと思ったのも理由のひとつです。

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