2.ただ鴛鴦を羨みて/水城洋臣(紹介No. 6)
今回は2021年10月に公開された、三国志ファン(とそれ以外の読者も)必見のヒストリカルロマンス『ただ鴛鴦を羨みて』(水城洋臣さん作)をご紹介します。
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紹介No. 6
URL:https://kakuyomu.jp/works/16816700428315103645
話数:5(2024/4/17現在)
文字数:13,264文字(2024/4/17現在)
投稿状態:完結済
セルフレイティング:残酷描写有り
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小説の舞台がどこであっても、私はシリアスなヒストリカルロマンスが好きなのです。ちょうどそれをテーマにした碧月 葉さんの自主企画を見つけ、自作を参加させようとしてこの作品が目に留まりました:
主催者:碧月 葉さん『【書架】少し大人な“ヒストリカルロマンス”』(2024/10/1~10/31)
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093085889171763
この自主企画には他にも少数精鋭でヒストリカルロマンスが揃っているので、読んでレビューできたら本エッセイでも紹介するかもしれません。
三国志の知識がない私ではネタバレしない粗筋をうまくまとめられなかったので、水城さんの作品紹介文とあまり変わりませんが、『ただ鴛鴦を羨みて』の粗筋を以下に掲載します:
【粗筋】
三国志の序盤・建安年間――北方騎馬民族のひとつ南
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『ただ鴛鴦を羨みて』は、水城さんの長編『西涼女侠伝』(完結済)のスピンオフです。両作品とも三国志の序盤である建安年間(196~220年/蜀漢では221年、呉では222年まで)を題材にとっています。
『西涼女侠伝』
https://kakuyomu.jp/works/16816452218737394790
『西涼女侠伝』(以下『本編』)の紹介文や水城さんのコメント返信によれば、本編の歴史的エピソードは正史(三国時代を扱う歴史書『三国志』のこと。3世紀後半に書かれ、勝者・魏を正統な王朝とみなす)を主に参考にしていますが、随所でわざと三国志演義(三国時代を舞台にした歴史小説。明代に成立。劉備の樹立した蜀漢を正統な王朝として描く)的要素を残してあるそうです。それに対して戦闘は、武侠小説的なテイストで描写しているそうです。そんな訳で本編は三国志と武侠小説のテイストを同時に味わえる美味しそうな作品なんですが、長編で私はまだ読み始めたばかりですし、恋愛小説好きなので、今回は『ただ鴛鴦を羨みて』を取り上げました。
本作は、三国志の脇役・劉豹と
読者のコメントへの水城さんの返信によれば、「匈奴にさらわれた令嬢を、曹操が助け出した」という逸話以外、なんと詳しい事情は伝えられていないそうです。僅かに残る史実から巧みに話を発展させて切ない悲恋物語に仕立てた水城さんの筆力と知識に感嘆しました。
この作品を読んだ後に蔡琰のことが気になり、ちょっとネットだけですけど、調べてしまいました。蔡琰が匈奴の男性との間に成した子供2人は、名前すら伝わっていないとのことなので、子供の父親の素性や蔡琰が帰国した後の子供の行方は分からないのでしょうが、知りたくなりました。きっと2度と再会できなかったんだろうな……(涙)
それから水城さんは、投稿作品のジャンルを中国史に絞っていらっしゃる関係で、カクヨムに投稿されている中国史関連作を劇中時代別に紹介するエッセイも投稿しています:
『カクヨム中国通史年代記』
https://kakuyomu.jp/works/16816927859652865113
このエッセイのすごいところは、作品舞台の時代別に作品を分類して紹介するだけでなく、各時代の解説までつけてくれているところです。水城さんの中国史に関する深い知識がうかがえます。
水城さんは、今はチャージ期間中で1年前に投稿した小説が最新となりますが、またボチボチと書いていこうと思われているそうで、いずれ『カクヨム中国通史年代記』に掲載作品を追加されたり、新作を投稿されたりするのを楽しみにしています。
『ただ鴛鴦を羨みて』は本格的な歴史小説ですが、三国志の知識皆無な私でも楽しめました。約1万3千字の全5話で読みやすい長さだと思いますので、思い立ったが吉日です!
私のレビューはこちら: https://kakuyomu.jp/works/16816700428315103645/reviews/16818093085952978767
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