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「あはははは。やっとハッピーエンドにたどり着いたか。いや~長かったな~」


 真っ暗な空間で彼は笑っていた。

 彼と形容していいのかは定かではないがまあいいとしよう。


「彼がやり直した回数は確か14000回くらいだったかな?正確には覚えてないけど」


 何やら不吉なことを言いながら男はなおも笑っていた。

 発言からしてやはり人間ではないらしい。


「彼が彼女と付き合うのは今回が初めて、というか多分だけどもう彼が死ぬことは無いと思うな。もちろん寿命とかでは死ぬと思うけどさ」


 彼はそういって立ち上がる。

 瞬間辺りは明るくなり彼の姿が見えるようになる。

 だが、その姿は人型ではあるものの目や鼻などは確認できない。

 何故なら人型は真っ黒であるからだ。


「にしても本当に長かった。彼の人生は不幸なことが多すぎた。

 だから、権能を与えて観測をしてたんだけど権能があってもあんな回数バッドエンドを歩むなんて本当に不運な人間だったな~」


 けらけらと笑いながらも彼は続ける。


「でもやっぱり彼女と結ばれることがトリガーだったみたいだね。彼女は彼女で不運な人間だから似たもの同士でお似合いじゃないか!」


「っと、すまない。君たちも見ていた通り彼がハッピーエンドにたどり着いたからこの物語は終わりだ。理由は簡単。世界はハッピーエンドを求めている。その先になんて君たちはそこまで興味がないだろう?」


 彼は何者かにそう問いかけているがその空間にはやはり彼しかいない。


「さて、この世界の観測はこれで終わりだよ。どうかな?楽しんでもらえたかい?楽しんでもらえたら嬉しいな。私はまた違う世界で誰かの物語を観測する。気まぐれに権能を与えることもあるかもしれない。また、私が観測する世界を見ることがあったらその時はせいぜい楽しんでくれ。ああ、どうせ君たちのことだ。お前は誰だというという投げかけてくることを予想して答えを残しておこう。私はあらゆる世界を観測し傍観するものだ。それではまた会うことがあったらその際はよろしく頼むね」


 そう言い残して彼はその空間から姿を消したのだった。

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死にたがり屋と女子高生 夜空 叶ト @yozorakanato

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