膣に溺れる

安田茜

第1話 膣に溺れる

アカネはミチの唇がすぐ近くにあるのを感じながら、息を整えることができなかった。閉ざされた部屋の中、街の音は遠く、ここには二人しかいない。淡い照明の中で、彼女の肌はしっとりと光っていた。ミチの瞳がアカネを捉え、逃れることを許さない。それはまるで、引き込まれるような深い渦のようだった。


「どうして、こんな気持ちになってしまうんだろう…」


アカネは自分に問いかけながらも、すでに答えを知っている。ミチが好きだった。同性であるという事実が、彼女を苦しめたこともあったが、その感情は今、言葉では表しきれないほど強烈なものに変わっていた。誰かをこんなに求めたことがあっただろうか。ミチの体温、息遣い、すべてが愛おしかった。


「アカネ…」


ミチが囁く。甘い声が耳元で響くたびに、アカネの胸が高鳴る。鼓動が早まり、身体が自分の意志を超えて反応する。膝の上に置かれたミチの手が、ゆっくりとアカネの太ももを撫でた。触れられるたびに、体が熱くなる。彼女の指先は、柔らかく、かつ確信を持ってアカネの肌を探っていく。


「だめ…」


アカネの口から自然と声が漏れるが、それは抵抗の言葉ではなかった。むしろ、その言葉に裏切られるかのように、アカネの体はミチの方へと引き寄せられていた。ミチは小さく笑い、指先をアカネのスカートの裾にかけた。アカネは息を止め、心の中で混乱する自分を見つめる。だが、理性がこの瞬間に何の意味を持つだろうか。ミチはアカネの本能を目覚めさせた。


「ミチ…」


名前を呼ぶだけで、すべての感情が溢れ出そうだった。アカネはもう、自分が何を望んでいるのか、明確に理解していた。抑えきれない欲望は、彼女の中で渦巻き、膣の奥深くにまで浸透していった。自分でも驚くほどの熱が、身体中に広がっていくのを感じた。


ミチの手がアカネの腰に滑り込み、彼女の体を引き寄せる。二人の唇が重なる瞬間、アカネの世界は音も色も消え去り、ただミチの存在だけが全てとなった。彼女の舌がアカネの唇をなぞり、ゆっくりと中へと誘う。その感触に、アカネは身を震わせ、さらに深く彼女を求めた。


「もう、抑えきれない…」


ミチが呟く。その声はまるで、アカネの胸の奥まで届くようだった。言葉だけでなく、彼女の手のひら、指先、全てがアカネを溺れさせる。心の奥で警告が響くが、それはすでに遠い過去のものとなっていた。アカネはもう、自分を止める術を持っていなかった。


ミチの手がさらに下へと滑り、アカネの中心に触れる。息が詰まる。彼女の指先が、ゆっくりとアカネの秘めた部分を探り、触れた瞬間、全身が震えた。その感触はあまりにも鮮烈で、アカネは声を出すこともできなかった。ただ、彼女の手が動くたびに、アカネは深く沈んでいく。


「アカネ、もっと…」


ミチの声が震え、二人の体が一体となる。その瞬間、アカネは完全に溺れた。ミチの熱、彼女の指の動き、すべてがアカネを包み込み、飲み込んでいく。意識が薄れていく中で、アカネはただミチに身を委ねることしかできなかった。

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膣に溺れる 安田茜 @yasudaakane

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