いつまでも忘れない思い出

夜白にこ

第1話 思い出を作ろう!





あれは、夏の日の病室での事だった。







「ウチ、ほのちゃんに外の世界みせる!」

「…なにいってるの?」



「だって、ほのちゃん外に出られないでしょ?…ならウチが退院したらそこで色んな話や写真を撮ってくるよ!」



「え…、なんで…?」

「? なんでって、一人でいるのって寂しいし。なにより友達が長く生きれないなら生きてる間に外の世界を知ってもらいたいじゃん!」



そう言った少女は色違いのリボンを私に渡してきた。

「約束ね!」










★★★★★









「はぁ、今日も暇だ。」








私の名前はほのか。今年で十三歳になるけど、

生まれた時から病院生活だからやることが無くなって暇になった。




なんで病院生活なのかは、

生まれた時から難病を持っていて外に出ることはできないから。



しかも、余命は長くて十八歳まで

最初にそれを聞いた私は、絶望と困惑で感情がぐちゃぐちゃだったけど、

今は生きてることに疲れてきた。




『いっそのこと自殺して楽になりたい。』

と思うくらいずっと生きてる心地がしなかった。




そんな生活が続いていた時…

ある一つの知らせを看護師さんから聞いた。





「ほのかちゃん、明日から新しい子が一週間ほのかちゃんの隣のベットに来ることになるけど大丈夫?」



「大丈夫ですよ。」

「そう、なら良かった」




私はいつもの事か…と思いながら自分の意思を伝えた。

だけど、少しその子のことが気になって看護師さんに聞いた。





「…その子ってどんな子ですか?」

「え? んー、すごく明るい子だったかな。」

「…そうですか。」





まぁいつも通りの接した方でいいか。

そう思っていた…はずだった。









★★★★★









「こんにちは、ウチの名前はこはる! こはでもはるでも、好きなようによんでね!

「 これからよろしくね!」




そう笑顔で言われて私は少し戸惑いながら自己紹介をした。





「私はほのか、よろしく。」

「ほのか…ならほのちゃんだね!」



「……え?」

「あだ名だよ! ほのちゃん! あだ名ってつけられたことない?」



「…ない」

「マジか!ならウチが初めてつけて人だね!」





そうやってまた笑顔で私に向けて言った。




(…この子、今までの子と違って接しにくい。)

今までの子は、必要最低限しか関わんなかったのに…




なんだか心の奥がむずがゆくて。でも嫌じゃない感じ……

この子も私もよくわかんない。




だから、私は思考を放棄して寝ようとしたが、この子は私に質問攻めしてくる。






「ほのちゃんは好きなものとかってある?」

「ほのちゃんは病院生活長いの?」

「ほのちゃんは…、」



「あー!わかった、答えるから一回止まって!!」

「え!?ほんと!やった〜!」





(…なんだか、気が抜ける。)

私はもういいかと思い、ここの病院生活のこと、私の病気のことを色々話した。





「…そっか。ごめんね?言いたくないこと言わせちゃって。」

「いや、全然。なんかこはるに言うのは全然嫌な気がしなかったから。」



「そっかぁ〜、なら嬉しいな!」

「…え?」



「だって、まだ会って間もないのにウチの事頼ってくれたってことでしょ? ウチはそれが嬉しい! ほのちゃんが一人で抱えるより誰かに吐き出せることがウチならもっと嬉しいけどね!」





(…この子、本当に同い年か??考え方が大人過ぎる。)

私はそう思っていたが口には出さなかった。



「でもね、ほのちゃんの気持ち。少しはわかるんだ…」

「そんなわけない。」



「そんなことあるの!」

「…ウチね、実は障害や病気…たくさん持ってるんだ。」



「ほのちゃんみたいに余命とかはないんだけど、原因不明の症状が沢山あるんだ」

「……」




私は思わず黙ってしまった。



だって、正直びっくりしたんだ。

こんなに明るくて大人な考えをしてるのに…実は色々持ってたなんて…




だけど、こはるは私の返事を聞かずに話しを続けた。





「ウチさ、そのせいで小学生の時クラスのみんなから差別受けててさ。障害持ってる子に近づくなーとか…、持ちたくて持ってるんじゃないのにね。」




「でも、今は中学で新しい友達出来たから大丈夫なんだけどね!」





こはるは笑っているが涙を堪えてるように見えた。





「今日もね、その検査で一週間入院なんだよね。」



「…だから、ほのちゃんが生きてるのが辛いって言ってたの、少しわかったんだ。ウチもそうだったから」




そう私の目を見て優しく問いかけた。




私は初めて共感してもらえたと思った。




どうせ死ぬなら人と関わんない方がいいって思ってたけど…、




本当は寂しかった。




こはるが言ってた、



『持ちたくてもってるんじゃない。』



って言葉は私の中ですごくしっくり来た。



私だって持ちたくてもってるんじゃない。



本当は外の世界で自由に生きてみたかった…


オシャレとか、メイクとかしてみたかった…



そう思っていたらなにかが頬につたうのを感じた。




「ほのちゃん、 どうした?なんか、ウチいらないこと言った?!」

「へ?」





「だって、ほのちゃん…涙流してる、。」






気づかなかった…。




私は涙なんて出ないと思っていた。

だけど、涙は一向に止まらなくて思ってたことがポツポツの口から出ていた。





「私さ…、本当は長生きしたいよ…!」



「オシャレや、メイクとかしたい…」




「本当は外の世界にいってみたいよ…」




「…死ぬなんて嫌だよ…!」





我慢してた糸が切れて、気づいたら思ってたことすべて口に出てて涙も止まらない。



だけど、そんな私をこはるは抱きしめながら頷いてくれた。



そして落ち着いてきた私はこはるに『ありがとう』と伝えこはるから離れた。





「よし、決めた!ウチ、ほのちゃんに外の世界みせる!」

「…なにいってるの?」



「だって、ほのちゃん外に出られないでしょ?…なら私が退院したらそこで色んな話や写真を撮ってくるよ!」

「え…、なんで…?」



「? なんでって、一人でいるのって寂しいし。なにより友達が長く生きれないなら生きてる間に外の世界を知ってもらいたいじゃん!」




そう言ったこはるは色違いのリボンを私に渡してきた。




「約束ね!」









★★★★★★









そこから半年がたった。





「ほのちゃん!来たよ〜」

「やっときた、遅いよ。」




「ごめんごめん、学校が長引いちゃって…」

「それでね!……」





そう話し始めたこはるはすごく楽しそうにしながら、写真も見せてくれてた。



そして私は前の生活よりものすごく楽しくなった。


もう少しこの生活が続けばいいのに…と思うほどに





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いつまでも忘れない思い出 夜白にこ @yasilo_25

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