第4話
~ドール帝国 本部~
ドール帝国は大陸西側に位置する戦闘民族の国。
王は現在おらず、ドール三将軍によって収められている。
ドール帝国本部の部屋、ある一部屋で男二人が会話をする。
一人の男は体が小さく、部屋の中央奥に置かれている小さな椅子に座り、本を読んでいるようだ。彼が話始める。
「
男の名は、 "
彼の言葉に 飛人は返す。
「たった猿一匹だろ? 大して変わんねぇよ」
土紀は呆れたように本を閉じ、立ち上がり言う。
「毎度毎度、君が連れ帰った捕虜の面倒を見るのは誰だと思ってんだよ…」
飛人は話を逸らす
「今から説教は御免だ。それより あのバカ蛙はどこに行ったんだ?」
「知らん。おおよそ また歴史調査にでも行ってるんだろう。あいつは将軍としての自覚がないのだろうか…」
土紀はまた、呆れたように椅子に座り本を開く。
「君たちの身勝手さには本当に疲れるよ。」
~南の島、
南の島では、5人の継承者たちを北へ送る準備をしていた。
まだ若い女性がクノンの前の手を握り言う。
「クノン、わかっていると思うけど、無事に帰ってくるのよ。」
彼女はクノンの母である。
「お母さん、何回も言わなくても大丈夫だよ。必ず帰ってくるから」
クノンは心配性の母を安心させるために手を強く握り言う。
ワイル、フマ、ペニー、カンアもそれぞれの家族に別れを告げている。
北の小さな港に泊まる、小さな船から長老が呼ぶ。
「お前たち。時間だ。」
継承者の出発を見送るために、里のすべての人々が集まる。
「必ず無事に帰ってきてね!!!」
奇跡的にも、彼らから出てくる言葉は同じような言葉ばかりである。
それほど彼らにとって、北の大陸は危険な地であり彼らの本心では "行かないで"という気持ちが強いのであろう。
小さな船は、広い海に向かい、進める。
ワイルが叫ぶ
「俺は必ず 爪痕を残して帰ってくるからな!!! 待ってろよ!!!」
幼いフマも続ける。
「お父さん! お母さん! 待っててね~!!!」
船の上で楽しそうにする二人に、緊張がほぐれ、他の三人も叫ぶ
「行ってきます!!!」
里の民たちは、船が水平線の奥に隠れ見えなくなっても海を見つめ続ける。
~大陸南部、ムノ村~
ムノ村はどこの国にも所属しない小さな村。荒野とジャングルに挟まれ、目の前に広い海が広がる小さな浜辺に、家が数軒ほど立っている。村の各所には、三千年前から置かれている古びた石が置かれている。古代の遺産でありながら、保存状態は非常に良く、未だに分かりやすい字で描かれている。
"ムノの意思を継ぎ、貴の帰りを待つ"
ムノ村近くの森の中、ツタが生い茂り南国に生える背の高い木が太陽光を遮る中、枝から枝へ飛び回る少年がいる。
彼の名は ミキュラ。狩猟を生業とするムノ村の最年少でありながら、最も狩猟の上手い川岩人である。彼は幼いころに両親を亡くしており、普段は村にいる義姉のセリナと暮らしている。
「姉ちゃん! ただいま!!!」
泥だらけの姿で、大量の兎が入った籠と子供の体よりもはるかに大きい動物の死骸を背負って帰って来たミキュラは、疲れている様子もなく 村中に響き渡る声でセリナを呼んだ。
「またこんなに持って帰ってきて… うちでは食べきれないわよ?」
家の奥から出て来たセリナは、驚く様子もなく呆れたように言う。
「村のみんなに配ってくる!!!」
すると、ミキュラは兎の籠を持ってまた家を出て行った。
ミキュラが海岸を走っていると、南の海の向こうに動く大きな影が見えた。彼が目を凝らしその影が動く船だと分かった時、村から騒がしい声が聞こえた。
村民たちは砂浜に集まり、少しずつ近づく船を観察していた。そんな中、ミキュラが合流し、村長に聞く。
「あの船は何ですか?」
「分からん。俺の人生の中で、南の海から来る船を見るのは初めてだ…」
船はどんどん近づいてくる中、丘の上に住む 老人が言う
「貴の帰りじゃ…」
「
ミキュラが言う。
村長が言う
「峰さん、"貴の帰り"とはまさか、」
彼の質問に峰婆は答える。
「三千年前の約束を果たすときが来たということだ。彼らは南の島からの使者。四大石光の継承者たちだ。」
「遂にこの時が来たのですね…」
峰婆の言葉にほとんどの村民は理解を示し、警戒を解く。
歴史に疎いミキュラは、話が理解できず峰婆に聞く。
「三千年前の約束って何!? 村の石碑に関係があること? 外からの人に会えるの?」
未だに外の世界を知らないミキュラは、興奮を抑えられない。
そして、船が海岸に到着する。
新王大陸物語 四ノ石 @kokomokomaru
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