欺瞞の悪魔
ケイ素 料理警察
ペテン師の異世界転生
俺は異世界転生なるものを体験した、魂が別世界へと移り異世界で産まれた。
俺の前世は人を騙し、運悪く騙した相手が極道で殺された。俺が金を奪ったせいで抗争に負け、その腹いせだそうだ。まぁ俺が悪いな。それでも、学歴のない俺にはこれしか生きる道がなかった。結局、俺には何も無かった嘘をつく才能だけだ。次があれば物理攻撃もできるようにならないとな…
そして、俺は転生した子爵家嫡男として。
俺は僅か五歳にして勉学が得意だった、そんな俺を父や母は周りの貴族に自慢し神童だと言った、確かに前世の記憶がある俺は算数に読み書きはすぐに覚えることができた。
そして、兄弟なのだが妹が一歳離れだがいる。その子は人見知りで基本的に祖父母の隠居した家に居るから偶にしか会えないのだ。お兄ちゃん悲しい。
高校へ進学さえできていれば、もっと上を目指せたのかもな…まぁ、親が不仲で結局居場所がなくなって家を出た俺も耐えれば高校へ出れたのかもしれない、そんなどうでもいいことを考えてしまった。悪い癖だな。
そして、更に五年の時が経ちこの世界ではスキルと呼ばれるモノを授かるそうだ。
「ギル、お前は私たちの家族だ。安心しろお前がどのようなスキルを手に入れようと家族だ」
俺が緊張しているように見えたのか父が俺を心配してくれた。ギルというのが俺の名だ。
それに続くように、母や執事も声をかけてくれた。
「ギルちゃんなら、大丈夫わよなんたって剣聖ゼロと剣姫ニアの息子なのよ?」
だからそれが不安なんだ。両親が脳筋すぎるし国の英雄が親だと余計に不安なんだよ…
「そうですぞ坊っちゃま、坊っちゃまに何か言うような御方がいるのであれば、この爺やが仕置きしに参りますからな」
そういう爺やの発言はシャレにならない…その昔、当時のこの国の王に単騎で殴り込むような化け物だ。付いた異名は狂剣のグラン、その結果は誰一人として死なず爺やの圧勝近衛兵達は国一番の護衛集団と名高いはずなのにな…
爺やはあまり昔の事を多くは語らないが祖父が俺の家、アキレア子爵家に使えている執事だ。仕事も難なくこなすすごい執事だ。
そんな人物達からの期待は重たい、いやこの人達は期待はするが期待はずれだからといって何か言ってくる人達ではない。それは分かっているし分かってるつもりだ、でも思い出すんだよ前世で上手くいかないと怒られた時のことを…
でも、この三人は大丈夫だって分かる。
だから、
「大丈夫、俺は二人の子供ですよ?それに爺や、俺は誰かに何かを言われる程度じゃ心は折れないよ、だからお仕置きはなしね」
そう言って、スキルを授かるための儀式を受けに自領の教会へ馬車で行くことに。
ちなみに、この世界には幾つか宗教があるのだがアキレア子爵領では精霊教と呼ばれる精霊を信仰している。この世界の自然を創って管理しているのは精霊と呼ばれており精霊を信仰することでその恩恵を得るというものだ。
前世では実力が全てだったし、宗教に頼るほどの余裕すらなかったがこの世界には魔法という概念もあるし、上位の精霊はごく稀にだが精霊教の教会に現れることがあるらしい。
少し考え事をしているとあっという間に教会についたようなので、スキルを得る為儀式を行う事に。
「精霊の御加護があらんことを」
教会の神父様が最後の一行を読み終わると、俺の頭上から様々な色の光の粒が降り注がれた。
「これは…黒、白、赤、青、緑、黄、他にも何色か見える…凄いな」
父はそう呟き、母と爺やはこの光の粒の量と色の数に呆気にとられていた。
「ギル様これにて儀式は終了です、お家でスキルを確認なさってください」
光の粒が降り注ぎ終わると神父様が口を開きスキル確認の方法を教えてくれた。
「すごいな、あの光の量は…私達の時ですらあの半分だぞ?噂に聞く父上の時と同じレベルなのでは?」
父が口を開き、爺やに尋ねると
「えぇ、ジーク様の時と同等若しくはそれ以上…」
驚く一同に戸惑ってしまう。馬車が止まり家へ帰り、茶を飲みながらスキルの話を始めた。
「早速だが、ギルよスキルを確認して見てくれ」
父や母の期待の眼差しに緊張するがここは勇気をだして
「スキルオープン」
この世界ではステータスの概念がなく鍛えれば強くなる理論でRPGであるようなレベルは存在しないからなのか、スキルオープン発言する事でスキルを確認する事ができる。ただ、称号や、加護は存在している。
俺の目の間に現れた不透明のボードには幾つかのスキルとその説明が乗っていた。
スキル一覧
【闇魔法】
常識に囚われなければ何でもできる。
基本的には呪いをかける魔法として有名。
【剣術】
刃物の使い方に補正がつく。
【クリエイトゴーレム】
材料があれば作りたい大きさ、形のゴーレムが作り出せる。
【努力】
努力する度強くなる、取りに補正がつく。
【欺瞞】
人を騙すことに補正がつく。
称号一覧
【異世界転生者】
枠に囚われない斬新な考えが思いつく。
【ペテン師】
人を騙す事が得意になる、相手も騙されると気づかない事がある。
この不透明なボードは俺にしか見えないらしい。
このスキル、称号、全てを見せるべきかやはり迷ってしまう。
俺はどうすれば、どうするのが正解なんだろう。
ここで家族から信用されなければ、家族から見放されたら…そう考えてしまう。
だが、この世界に来て人の温もりを感じて何度も泣いたまだ赤ん坊の頃に…その度に父も母も爺やも俺に優しくしてくれた。
だから、この三人にはとりあえず言おうと決意した。
欺瞞の悪魔 ケイ素 料理警察 @keito0390
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